#7 水アカや、においの発生源となる汚れに注意して


 今回は、便器とその周辺の清掃です。  今、小便器のデザイン・種類はどんどん増えています。逆三角形のような形の、とても細長い小便器もあります。どんな形であれ、水が出ているところを重点的に洗うようにしましょう。水が出るということは、カルキも付きやすいということですから、気を付けてくださいね。特に水が流れる範囲は、キチンと擦るようにしましょう。
 小便器の下部には “トラップ”と呼ばれる、水がたまる部分があります。ここは非常に見えにくい場所ですが、においが出る元になりますので、こまめにチェックしながら洗ってください。
 小便器の下の部分、周囲の壁、床は、尿が垂れたりハネたりして付着しています。これもこまめに、できる限り早めに拭き取るようにしてください。清掃後は必ず角度を変えてから見て、チェックしましょう。水アカの黒い線が付いてしまったら、日常清掃では対応できなくなります。必ず責任者に報告、相談してください。また小便器前の床は、尿を放っておくと焼けてしみ込んでしまいます。すると、その箇所だけ床が白くなることがあり、日常清掃で取ることは不可能になります。そうなる前に、こまめに拭きましょう。
 大便器は小便器と同様、水が出るところに水アカが付きやすいので、要注意。あとは前回も書きましたが、便器の縁裏に汚れが付いていますので、小さな手鏡で確認しながら清掃するようにしてください。 温水洗浄便座のノズルのうち、洗えるものはノズルを出して片方の手で根元を支えながら、歯ブラシなどで汚れを落とします。ノズルは折れやすいですから、気を付けてください。ノズル収容部分とその周りにも飛び散った便などの汚れが付いていますので、歯ブラシや竹ベラを使って取るようにしましょう。 この時、ノズル清掃には洗剤を使わないこと。また、温水洗浄便座はマイクロファイバークロスで乾拭きしないでください。マイクロファイバークロスで拭くと、黒ずんでしまいます。 この他、便器と便座の境目も、尿が流れ込みやすく、汚れやすい場所です。そういった部分も小物を使って、ホコリを除去してください。
 大便器掃除の時、忘れやすいのは便器の後ろ、温水洗浄便座のコードに付いたホコリ、それから壁、幅木です。便器の後ろは特に汚れが溜まりやすく、においが出やすいので気を付けて清掃してください。トイレットペーパーホルダーも汚れますので、忘れずに拭きましょう。ステンレスのものは水拭きした後、必ず乾拭きしてください。
 個室内のゴミ箱も、日常清掃の範囲です。ゴミが溜まらないように捨てるのは当然のこと、ゴミ箱自体も毎日拭きましょう。その際、ごみ箱の後ろの壁も忘れずに拭いてください。これを怠ると壁にゴミ箱の跡が付き、黒ずんでしまいます。ゴミ箱の中にビニール袋を設置する時は、外にハミ出さないよう、丁寧に入れてください。
 次回は便器及び便器回りの定期清掃のポイントを説明していきます。

新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。