#19 身だしなみ、健康管理に気を配り、長く良い仕事をしましょう

 前回に続き、全清掃に共通する“作業前の心構え”について、お話していきたいと思います。 身だしなみには、日頃から十二分に注意してください。私たちは仕事の性質上、お客様と最も近い位置にいます。ボサボサの髪の毛、ヒゲ、香水、汗の臭い、濃い化粧、長く伸びたままの爪、アクセサリー、制服のボタンのとめ忘れ、ズボンが下がりすぎている、靴がボロボロだったり、汚れていたりする、タオルがポケットからだらしなく出ている等々、すべて悪い印象を与えるので、気を付けましょう。意外と皆さん、できていないことがありますよ。 そして見た目はもちろん、道具の使い方や作業の動きなど、きれいに見せながら清掃することを意識していきましょう。

 また、作業中は私語を慎んでください。第三者に聞かれている可能性があることを忘れずに。トイレ、玄関など人の出入りの多いところでは、お客様に対する挨拶を心がけましょう。いったん手を止め、一礼するのが望ましいですね。 こういった姿勢、態度が、良い第一印象を与えます。「清掃員は皆、礼儀正しい」と言われるようになれば、私たちを見る目はグンとよくなります。清掃員全体の社会的地位を上げるため、私たち一人ひとりが気を配っていかなければなりません。自分から率先してやって、初めて人も認めてくれるのです。

 すべての清掃業務に共通して多い作業が、掃き、拭きの二つです。掃き作業ではどうしてもホコリを吸い込んでしまうので、気を付けて作業していきましょう。ホコリが多い時は、マスクを使うなど工夫してください。 拭き作業では、タオルやモップを濡らして使うことが多いため、よく手が荒れてしまいます。皮膚の弱い方は大変ですが、用具の手入れまで怠らず、しっかりやりましょう。用具はきちんと手洗いしていても、必ず臭いが出てきます。定期的に浸け置き洗いをし、消毒するようにしてください。

 私たちの仕事は、体が資本となる仕事ですから、十分な体調管理を心がけましょう。夏は水分、塩分をしっかり取る。冬は体温を上げるため、体が温まるものを食べたり、少し辛い物を飲んだりするといいと思います。作業前にはある程度、首、手首、足などの関節を動かしておいた方がいいですね。  それから、これは効くかどうかはわかりませんが、私は毎朝お湯もしくは温かいお茶を飲んでいます。お湯で内臓が温まると、体全体の代謝がよくなります。これが外の気温と体温との差を調節するのにいいと、祖父母から教わって、ずっと実行しています。

 体のバランスも普段から考えた方がいいと思います。使いやすい方の手ばかりを使って作業すると疲れてしまいますから、なるべく両方の手を均等に使いましょう。 日常生活でカバンを持つ際も、いつも右でなく左で持ってみるなど、両手、両肩に同程度の負荷をかけるよう、意識してください。 自分自身の健康、体の状態にもしっかり留意していくことが、長く良い仕事をしていくためのコツだと私は思います。

新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。