#18 自分の身は自分で守りましょう

 トイレ清掃からスタートした、このコラム。引き続き場所別の清掃ポイントをお話する前に、全清掃にかかわる“作業前の心構え”について、お話しておきたいと思います。  作業に入る前には、緊急時の連絡先を業務の責任者に必ず聞いておいてください。特に休日や時間外で責任者が不在の時、何か不測の事態が起こった場合、どこへどう連絡すればいいか、あらかじめ頭に入れておく必要があります。

 私たちは通常業務において、ほとんどの場合、身分証明書を携えています。しかし、会社から別の現場へ応援に行くよう命じられた時など、身分証明書なしで作業に出かけるケースもあります。そうした時は、手書きでもいいので自分の名前、住所、電話番号、緊急連絡先を明記したものを手荷物の中に入れて行きましょう。 作業中にケガをしたり、具合が悪くなって倒れたり、万が一の状況を常に想定しておくわけです。  「自分の身は自分で守ること」が、大切です。不審者を見かけても、簡単に声を掛けない。不審物を見つけても、触らない。そういった場合は持ち場を離れても構いませんので、すぐ誰かを呼ぶようにしてください。 警備員はある程度訓練されていますので、まず彼らを呼ぶのがよいでしょう。

 落とし物、忘れ物を見つけた時も、時間を確認した上で、すぐ担当者に届けてください。例えば、財布を拾った場合、絶対に中をチェックせず、拾ったままの状態で、すぐ担当者に届けてください。万が一、中身がなくなっていたら、真っ先に疑われるのが清掃員です。 中をチェックすると、財布全体に指紋がつき、「お金を盗った」と勘違いされる可能性があります。どんな状況でも、自分が不利になったり、危ない状況に陥ったりする要因を作らないよう、気を付けましょう。

 また設備や備品の異常、不具合に気付いた時も、すぐ担当者に報告してください。“報告”も大切な仕事です。 これまでお話してきたトイレでいえば、照明が切れている、便器やドアに不具合がある、といったようなことですね。

 それから意外とあるのが、貼り紙のはがれです。特にトイレには、よく「きれいに使いましょう」といった貼り紙がしてありますよね。パウチした貼り紙がはがれかけたところをお客様が触ると、ケガをする恐れがあります。早めにオーナーさんに相談し、貼り直してもらいましょう。

 こういった「当たり前のこと」でも、誰かが率先してきちんと報告しないと、誰も言わないまま放置されてしまいがちです。トイレ、玄関など建物の顔になる場所ほど、お客様より先に気づくよう、作業員一人ひとりが心がけていきましょう。

 「当たり前のこと」といえば、入り口に清掃用具を置いたままにしない、モップなど長さのある用具は必ず壁際に寝かせて置く、といった常識的なことにも、改めて気を配ってくださいね。道具を置く時は、必ず看板を立てること。 常にお客様の立場に立って考え、やさしさを忘れずに作業をしましょう。

新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。