#9 利用者のことを考え、清掃用具の使い分けを

 最近のトイレにはハンドドライヤー、ベビーチェアをはじめ、新しい備品が次々加わっています。また、オストメイトや多目的ベッドを備えた多機能トイレ、給湯器の付いた授乳室のある施設も増えています。今回はそういった備品、設備の清掃についてお話していきたいと思います。

 ハンドドライヤーはカビが発生しやすいため、こまめな水拭き清掃が必要です。手を乾燥させる個所は幅が狭いので、歯ブラシなど小さめの道具も使って清掃しましょう。排水口のあるタイプは、排水口ブラシを使って洗います。 定期的な分解清掃も必要です。本体からドレンタンクを外し、タンク内の水を捨て、中を清掃します。次にフィルターを外し、洗います。こうした定期清掃を怠ると、臭いが発生しますので注意してください。タンクとフィルターを外した後の本体下部、壁側についているフィルター(左のイラストの赤い部分)は、ホコリが溜まると通気が妨げられ、熱を持ってしまいます。熱を持った状態が続くとハンドドライヤーの故障につながるため、定期的にホコリを除去してください。 ハンドドライヤーを清掃する時は、本体周囲の壁を1・~1・20・四方(上下、左右)すべて拭いてください。清掃が終わったら、必ず一度ハンドドライヤーに手を入れ、キチンと作動するかチェックしましょう。急いで清掃すると、スイッチを入れ忘れることが意外と多いものですよ。 次に、オストメイトです。まず汚物を流す陶器部分は、基本的に大便器の清掃と同じ考え方で構いません。水アカが付きやすいところを、重点的に洗いましょう。水が出てくる部分からキチンと洗わないと、水アカの黒い線が付きやすくなるので注意してください。 オストメイトの清掃で最も注意しなければいけないのは、清掃用具の使い分けです。蛇口、シャワー、鏡の清掃は、必ず陶器とは違うタオルやブラシを使うこと。陶器以外の部分は、洗面台用の道具を使っていいと思います。利用者が手で触ることを忘れずに、気を配ってください。最後に周囲の壁、幅木、床まですべて拭きましょう。  授乳室の清掃は、すべてトイレと別の道具を用意します。ベビーチェア、ベッドの汚れが落ちにくい時は、メラミンパッドを濡らして使ってください。

 授乳室内の給湯器は、お湯が出てくる給湯口と受け皿にカルキが付きやすいので、注意してください。清掃後には、必ず乾拭きをしましょう。給湯口はゴムキャップを外し、清掃します。清掃の間、キャップは水を入れた小容器に浸けておきます。これは紛失防止と、熱湯で伸びたゴムを縮め、清掃後にはめやすくするためです。  給湯器の後ろにはホコリがたくさん溜まっていますので、しっかり清掃してください。もちろん、周囲の壁と幅木、床も忘れずに拭いてくださいね。

新津春子略歴 1970年、中国・瀋陽生まれ。日本空港テクノ株式会社社員。「環境マイスター」として羽田空港で活躍。2018年よりハウスクリーニング「思う心」を率いる。20年7月、YouTube『新津春子の優しいお掃除チャンネル』を開設。