BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)

石材メンテナンス動向

06年入札で新規現場受注の注意点をあげる

 本年11月にマンションの手抜き工事が明らかになった。この事件からもわかるとおり現在は、すべてが外見優先である。ビルメンテナンス現場を取り巻く環境も、洗剤や清掃機械も、程度の差こそあれ同様である。最近のビルメンテナンス業界の展示会では、「環境にやさしい洗剤」と宣伝しているものに、英文で燐を含むと表示のある輸入洗剤があった。
 こうした表示方法からわかるとおり、メーカーや販売業者は商品の欠点は言わない。そしてメンテナンスのことは考えていないといっても過言ではないだろう。そのメーカーにメンテナンス方法を聞いても問題点はまず教えてくれない。その結果現場が泣きを見ることになる。したがって現場管理者はメーカーの裏を読み、カタログの裏を読む知識と情報が必要である。
 10月にビルメンテナンス業界関係者で構成する試みの会で石材メーカーを呼び、石材の最新動向を聞いた。これについてビルメンテナンス現場からの私的な評価を記したい。
 まず、過去の流れを見てみるとバブル以後、ゼネコンや設計者は、ビルの内外装に安くて見栄えのよい石材を求め続けてきた。その例が中国産石材とライムストーンである。そして、さらに安いスレート、クオーツサイトの割り肌、乱形であり、こうした石材が原因でメンテナンスの問題が起きた。
 代表例は、1年で改装した品川駅構内にある有料トイレだ。メンテナンス不可能な石材を使った設計ミスである。羽田空港第2ターミナルに使用されているミクロチップ花崗岩レジンテラゾーは品川の失敗を生かして設計されている。では2006年の石材動向がどうなるかというと、石材に変わりガラスと天然石調タイルという新人造大理石の時代が来る可能性がある。
過去の石材動向
時期 使用石材 代表使用石材
バブル時 天然石材(本石)、本磨き  
バブル末期 天然石材、バーナー仕上げ
レジンテラゾー
中国産花崗岩
バブル崩壊期 新石材、御影石系レジンテラゾー ライムストーン、スレート、
クオーツサイト、中国産花崗岩
現 在 新石材、割り肌仕上げ、乱形施工 同上
2006年予測
新人造石のメンテ問題
天然石調タイル
結晶化ガラス 汚垂石、壁面
アクリル系大理石(MMA) キッチンユニット

 新人造大理石は、今までのレジンテラゾー、セメントテラゾーとは異なり陶器、ガラス、MMA(メチルメタアクリレート)の3種類である。ガラスとMMAはすでに使用され、後者はハウスクリーニングでよくトラブルを起こしている。問題は天然石調タイルである。これは天然大理石そっくりの陶器である。もちろん陶器であるから大理石よりはるかに硬い。
 数年前から新築ビルに導入され、ワックスが不要のため北海道の大型ビルではワックスメーカがショックを受けていた。この系統の天然石調タイルはイタリアものであり、かなり高価であったが、これが中国で生産される可能性が出てきたことや、大型製品といわれる1200×1700mmのスラブ板が生産できるようになったため、中国産花崗岩でおきた価格破壊が起きる可能性がある。製品もビアンコ、ネグロマルキーナなど、本物の大理石と同じ名前でもあり、自然破壊を防ぐという意味もあり無視できない素材である。メンテナンス側の問題点は、艶落ちとすべりの心配である。メーカーは問題ないというが、現場としては避けて通れず、意外に問題が起きる可能性がある。このため現場に応じたビルメンテナンス自身の研究による対処が必要である。
2006年の石材メンテの問題点を列記する。
1、 新人造石3種類のうち天然石調タイルの見積もりをどのように考えるか。
2、 天然石調タイルのメーカーも述べているとおり一部石材の品質低下がある。この石材のクレーム発生が予測される。ビルメンテナンス現場は責任を負わないようデータの収集が必要である。(例として品川駅トイレがある)
3、 バブル時に使われた花崗岩の内部にサビの発生が起きる時期に来ているため、各現場での可能性を調べておく必要がある。

写真、バブル崩壊後、多用された割り肌石材、
ゾルンフォーフェンストーン。模様は植物化石で
はなく、マンガンの抽出したもので忍ぶ石と呼ばれる。


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