BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
セラミックタイルのクレーム対策
1、セラミックタイルの現状
デパートが生き残りの瀬戸際にある。生き残りをかけて、各社の合併と同時に売り場のリニューアルが行われている。そして駅ビルと駅中の競合の時代であり、売り場のリニューアルによる客層へのアピールと差別化競争が激化している。このため床材は、より低価格で、より目を引くデザインが要求され、その中で大幅に使用されているのがセラミックタイルである。
その理由は陶磁器の技術進歩による表現力の幅の広さにある。現在はセラミックタイルに表現できないものはないと言われている。表面を皮や布、金属、木材に似せた加工にするなど、触らなければわからないほどの出来栄えである。そして当然、耐久性は本物よりある。色は思いのままである。セラミックの進歩の原動力はファインセラミックという新しい分野の開発にある。現在、セラミックは携帯電話からロケットの断熱タイルまで使われている。この技術の進歩がセラミックタイルの表現力の進歩に貢献している。
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| 左から石材、布、鰐皮、サイザルマット、に似せたセラミックタイル。 |
また、セラミックは化学物質を放散させるシックハウスに無関係であり、廃棄も問題ない。そして再生が可能である。最大の利点は、中国にイタリアから技術が輸出され大型のタイルが恐ろしい低価格で生産されたことである。
最高級とされたイタリア産大理石の代替として、その耐久性と白さ、つや、ワックス不要、メンテ不要のうたい文句で売り込まれた。これでは普及しないわけがない。これが数年前からの現状である。
ところがセラミックタイルのメンテナンスの問題点が浮き彫りにされた。それはすべりの問題である。釉薬により表面がガラス上であれば汚れがつかない。ところが滑り易い。その例はガラスの一種である結晶化ガラス(商品名・ネオバリエ)でも起きていた。この商品も汚れずらく、美しい。特にトイレの汚垂石としては勝るものはない。このため床への導入を試みたが、すべりの問題で生きず詰まった。このため現在は、内外壁と汚垂石に使用されている。
現在、使われている建築素材として勢いのあるのはガラスである。このように見ると石材、ガラス、陶磁器は、全てセラミックとも考えられ、セラミックの時代とも言える。
本来、セラミックタイルは、外装と壁面が主な使用箇所で、室内では浴室、トイレ、厨房などの水周りであった。そして大きさも50ミリ程度であった。このためポリッシャーによる洗浄とモップ拭きで問題はなかった。
今までビルの床は、セラミックが少なく天然石材とテラゾーの世界であった。ところがバブル崩壊後、低価格の建設資材が要求されたことから中国産花崗岩、ライムストーン、スレート、クオーツサイトなどが使用された。その後、大理石より安く、大理石より白い大型の中国産セラミックタイル製品が急激に流れ込んできた。そこで問題になったのか、「すべり」で、この問題を解決するため、釉薬のない製品や弗酸ですべり止めをした製品が使用されだした。しかし、この製品は鏡面仕上げだが、細かい穴や割れ目があるため、そこに汚れが入ると除去しにくいという問題が出た。また初期の釉薬のある製品も土砂による傷に汚れが入り込み、取れなくなる問題が出てきた。この汚れ方が天然石材の7年より短い1年ぐらいで変色する。また無釉研磨製品は白物の場合、数ヶ月でねずみ色に変色する。また弗酸処理製品も同様である。
その上に中国製品の一部に撥水剤の変わりに桐油を塗布したと思われる製品があり、これによる汚れの付着と思われる例がある。この場合ビルメン側が油性ダスターを使用したとして責任を取らされた例があり、天然石材と同様、油性ダスターは使用してはならない。
2、クレームの現状と判別
クレームを起こすタイルは①白で無釉研磨品で400角以上の大型タイル。中国産が多いがヨーロッパ物にもある。
クレームの状態は白物に汚れが入り、白がグレーになり、落とすことが難しい。段差状に汚れる場合と雲状に汚れる場合がある。現在ジョンソン、コスケムなどが対応策を出しているが一部のクレームが解決できるだけである。クレームの発生時期は数日から1年にわたりまちまちである。
3、判別と対応
現在サンプルを60例ほど集めてテスト中であるが、グロスの高いものほどクレームが多い。(写真1)
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| 写真1 |
セラミック判別セットの顔料混合染料を塗布すると細孔が多く見られる製品ほど汚れ易く、内部しみこみの見られる製品ほど汚れが取れなくなる。(写真2、)(写真3は50倍に拡大)
現状では、この判別法により危険な製品は頻繁にポリエステルミクロパットで洗浄を行い、保護剤を密着させる方法があるだけであり、現在、対応策を研究中であり、メーカー自体も対応策に苦慮している。
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| 写真2 |
写真3 |
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