BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)

オーナーからのインスペクションクレーム


1.インスペクションクレームの増加

 最近、きれいさを評価するインスペクションに関して、ビルオーナーや管理会社とのトラブルが増加している。インスペクションとは、品質管理の流行 に伴い、現行のビルメン業界で行われているもの。理論先行で具体性の少ない品質管理に変わり、具体的な品質管理が求められている。そのひとつがグロ スメーターによるグロス(つや)管理である。数値のばらつき、きれいさ、つやは同じではないという問題はあるにしても、ある程度の定着を見せている 。
 この方法は作業者がある種の判定方法を決めて、それにのっとり点数評価を行いきれいさを定めるという方法である。言い換えるとビルメン協会 が認めたインスペクターがきれいさを判定するという方法であり、言い換えるとビルメンテナンス協会がきれいさを判定することに他ならない。
 ま た、この方法はISOやJISに定められた清掃品質の判別技術ではない。通常JISで認められるには、その手法を関連業界全てが認めたものである必 要がある。このため官界(厚生労働省)、学会、民間関連団体の3者が共同研究を行い、いわゆる厚生科学研究にもとづき定めた技法である必要がある。 言い換えれば現在のインスペクション技法は第3者機関に認められていない技法ということになり、法律による強制力を持ってはいない。

 インスペ クションに関連するクレームの多くは元受や下請ビルメンが、法律に定められた技法であるとして管理会社、ゼネコンなどにこの数値が法的強制力がある ものと勘違いして、強く主張しすぎるのが原因である。それを知らないと管理会社とのトラブルになる。
 現状のインスペクションは、「数値測定に よる絶対的きれいさではなく、目視による相対的きれいさである」ということである。このことは現状のインスペクションを管理会社に認めてもらうのに は管理会社の信頼(コンセンサス)を得る必要がある。言い換えれば管理会社の目から見ればビルメン側の自己評価に過ぎない。それを判定するのは管理 会社である。温度、湿度などの測定値、バキュームの吸引力、洗剤の成分などのように測定値を強く主張できないのは、管理会社に認められていないから である。

 現状のインスペクションが適応できるのは元受ビルメンの下請業者管理である。ビルオーナーやビル管理会社は自社の評価法(インスペク ション)をもっている。この現状を踏まえてインスペクションクレームに対応する必要がある。

■インスペクションクレーム例1
 最も多いクレー ムはインスペクション評価点の見直し
 あるビルメンが協会マニュアルに沿って提出した採点が75点であったので、そのまま提出したところ、書き 直しを命じられた。本来、契約どおりの作業を行っていれば100点であるはずである。75点というのは十分な作業をしていない。言い換えれば契約違 反ではないか。また見方によれば「管理会社の係の管理能力不足をあらわしている」という反論があり結局90点で折り合いがついた。

■インスペクシ ョンクレーム例2
 ある現場が90点で提出したが、管理会社は他の現場と比較して90点とは考えられない。
 その結果75点で話し合いがつ いた。


■インスペクションクレーム例3

 この汚れはこのビルが建てられたときからの汚れで椅子に座る人の頭髪の油が黒のスレートにしみこん だものである。これを落とすには溶剤による吸着法による除去が必要である。このベンチを取り去ればこの汚れは無くなる。また、この部分に撥水剤を塗 布する方法もあるが壁面全体に平均に塗布することは至難の業である。この汚れは10年前に業界紙でも取り上げられている有名な汚れである。
 こ のように管理会社が認めている汚れはインスペクションから除外すべきかどうか問題である。



■インスペクションクレーム例4
  見えない汚れは現状では余り問題にならない。しかしビルメン業界が予防メンテナンスを主張しているためオーナーによっては、これがクレームになる場 合もある。カーぺットの洗浄後、汚れが上がる現象、吸い上げまたはウイックアップ現象である。これの原因はバキューム不足であり、管理会社によって はクレームとして評価する。獣道の前兆との考えである。最近のハイロウカーぺットのある種のものはこの現象がおきやすい。また、ある大手管理会社は カーぺットを水につけた歯ブラシでこすり、泡立ちを見てすすぎの不足を指摘する抜き打ち検査を行った。最近、アメリカの洗剤は乾燥して粉になるため 1度のバキュームで回収できるという30年前の理論をうりものにしている業者がいることも影響している。これは20年前の厚生科学研究で否定されて いる。

2.インスペクションクレームを防ぐには

①オーナー、管理会社とのコンセンサスである。これがあれば問題は起こらない
②JISなどの測定法を裏づけにした測定技法を出来 るだけ導入する
③厚生省、学会の同意を得る。
④目に見えない汚れ(ハウスダスト)は、きれいさの基準として無視できない現状である。これ等 の定量化の技法の開発。


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