BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)

石材クレーム 一覧表2006年版
ビルメン業界におけるクレームの現状

 ビルメン業界では、クレームという言葉がテキストなどで正式には存在しない。その理由は、クレームの存在を認めてしまうとビルメンの 責任を認めたことになるからであろう。このため、テキスト、石材メンテナンスの中ではクレームではなく「トラブル」の表現をとってい る。私は、あえてクレームという表現で話をしたい。
 言うまでもないが、石材は汚れひとつなく管理するものではない。自然のままに使用するのが石材の考え方である。ヨーロッパでは特にそ うである。しかし、わが国の場合は、外国に比べてきれいさの要求はかなり厳しい。そのうえ、白大理石の外装使用など、通常使わない場 所にきれいな石材を使うという無理な使用法が多いため、その汚れに対するクレームが多く、その矛先は施工者には行かず、ビルメン業者 に押し付けられる。
 こうした場合、石材メーカーのカタログがビルメン側の責任ではないことを証明してくれる。カタログに使用してはならない条件が示され ているからだ。例えば大理石の屋外使用やトイレ使用などは禁止されている。このため、屋外やトイレに使われている大理石でクレームが 発生しても、基本的にビルメン現場の責任ではない。こうしたことを事前に提案書に明記しておかなければならないだろう。
 現在、ビルメン業界もクレーム対応法が生き残りの手段である。これを取り込んだ会社が今後、有利に立つことは間違いない。なぜならば クレームがないことは品質の良いことであり、クレームがそのままということは技術レベルの低さを示している。今回示すクレーム一覧表 は、クレーム対応の入り口である。一覧表には石材、木材、ビニール床材などがあるが、カーぺットクレーム一覧表は最も古く1965年 から6版を重ねている。石材は1980年からである。これら資料は一部の現場で使用されているが、この存在を知らないのは、ビルメン関連 協会と大手ビルメン本社である。いずれにしても現状ではクレームの全てはビルメン現場の責任になり、最終的には本社の首を絞める。
 少なくとも、クレーム対応法よりも先にビルメン業界はクレームの定義、範囲、などを業界で明確にして現場の負担を軽くすべきである。 ビルメン側の責任を軽微にするのは、過去のデータを蓄積することである。しかし、これらのデータをビルメン業界は廃棄してきた。これ らの廃棄データ、資料、散逸機器、顕微鏡、清掃機械性能測定器などをジョンソンフロアラボに集め、ビルメン現場の人たちがクレーム対 応を身につける実験セミナーに取り組んでいる。御協力願えれば幸いである。特にビルメン協会の2階にあったクレーム石材サンプルや石 材薄片を探している。

クレームの定義、成立条件

@クレームの定義 オーナー〔消費者〕からのメンテナンス全般、または作業の結果に対する
不満の表明
Aクレームの範囲 広義の場合
狭義の場合
価格、クリンクルーの態度まで含める
石の品質〔作業後の主として外見上の変化〕に関する技術上の問題が対象になる。
Bクレームとなる条件 オーナー〔消費者〕の石材メンテナンス知識の程度により特定しにくい。
Cクレームとなる時期 クレームの申し立ては異常が発見された時、明確になった時に行われる。石材の場合はクレームの原因から2〜7年前にさかのぼ ることも少なくない。多様なクレームが発生しだすのが7年目といわれる。
カーぺット3年、石7年といわれている。
Dクレームの分類と傾向 クレームは本来表面化しにくい。実際の発生件数を把握することはできない。従って本表は統計資料ではなく, 傾向を知るための資料である。


石材クレーム一覧表2006年版

注1、中国産花崗岩が圧倒的な強さである。

注2、低コストな割り肌,乱形、の増加、本来外装用を室内や
    トイレに使用がクレームになる

注3、より安い天然石風陶磁タイルの中国物が低価格を
    売り物(1枚、1000円以下)に増加の予想

注4、石材クレーム対応50、パワーポイント。参照

注5、東京横浜石材100参照(パワーポイント)

注6、東京協会石材メンテナンスに対応
原 因 石 種
NO クレーム名 現 象                  
1 エフロ、 (炭酸カルシウム系) 石材の表面に白い粉が出る、炭酸カルシウム、珪酸系の2種類がある
酸洗いのあとにもおきる


   
2 ぬれいろ 石材の裏側からの水分の吸い上げ。エフロ錆びにつながる      
3 黄化 ビアンコに特有な現象で内部鉄分が原因              
4 さび(外部) 石材下部や内部からの内部さび、と外からの外部さび(もらいさび)がある、看板、シャッター、床洗  
5 色落ち 中国産花崗岩の黒系に多い。染色おち            
6 さび『内部』 花崗岩の多くは鉄分を含む。ビアンコの黄化は例外     ○     ○  ○
7 接着剤しみ 目地のシリコーンと裏側のエポキシの無反応部分            
8 オイル 自動車オイル、重油のこぼれ、レストランのオリーブ油          
9 エフロ『珪酸系』 塩酸で溶けない        
10 黄化『トイレ』 白系石材の尿のしみこみ      
11 ひび 本来ひびのある大理石に汚れや鉄分による目立ち ポテチーノ、ベルリーノ              
12 酸性雨損傷 大理石の外部使用、酸性雨に弱い花崗岩(モンチーク)        
13 ジュースのつや落ち
マヨネーズでもおきる
黒系の大理石カウンター、ビアンコなど                
14 トラバーチン汚れ              
15 穴あき
トラバ−チン
床施工穴あきトラバーチンは30年来、あまり見かけないが最近汐留で例がある。ハイヒールによる穴あき割れに注意、マ ロン系も内部に空洞がある。            
16 こけ 外装使用の砂岩、ライムストーン          
17 獣道
厨房入り口
厨房入り口、マット使用を提案、白物    
18 われ(浮き) 割れのうち団子張りの施工例が多い、レジンに多い            
19 整髪料のしみ 人の多い壁面は髪の毛の油や靴裏のゴムが付着する          
20 手垢 エレベーター押しボタン周辺        
21 プールの塩素によるさび(黄、赤)              
22 石材酸性洗剤損傷 隣接素材 カーペット,大理石            
23 エフロの噴出し〔石面〕                
24 コーヒー。コーラ のしみ                    
25 パーマ液、染料                    
26 目地溶解 酸による 石は耐酸でもセメントめじは弱い            
27 玉石剥離 使用セメントの強度不足、酸洗い注意            
28 白化
ジャモン
退色しやすい              
29 穴あき
ジャモン
ポップアウト              
30 料理の油しみ すべての石材                  
31 マットあと すべての石材              
32 化粧品のしみ 大理石系                  
33 酸性洗剤誤用 大理石,石灰岩                  
34 トイレ用洗剤 目地の損傷、すべての石材                  
35 テープあと すべての石材                  
36 ひびからの内部さびの染み出し すべての石材、ポテチーノ、レジン                  
37 レジンの破損 下に隙間があると割れやすい                
38 ライム汚れ パラデオ、ルーブルなどやわらかいライムストーン                
39 汚れの目立ち
隣接が白系
すべての石材                  
40 赤化 白大理石の鉄分が漂白剤で鮮やかな赤変                
41 乱形目地汚れ 乱形のセメント目地の汚れ              
42 黒さび すべての石材                  
43 石の模様あわせ 模様あわせ部分の洗浄むら                  
44 油汚れの樹脂化 白系大理石、花崗岩の壁面汚れの固化                  
45 駐車位置の汚れ 排気からの油汚れ、落ちにくい。すべての石材                  
46 弗酸洗剤クレーム 表面の荒れによる汚れの付着 よく落ちるが危険                  
47 石材の厚さ不足 台車の通る床に12ミリ厚の大理石の団子張り 強度不足、すべての石材                  
48 エポキシレジン 酸性洗剤で変色(最近は少ない)                  
49 アクリルレジン 剥離剤で変色(キッチンテーブルに多い)                  
50 ビアンコ不適切使用 白大理石の外装使用はその代表である。ゼネコンも石材メーカーも認めている                
51 溶接錆び 工事中の溶接が原因のさびはかなり多い。すべての石材                  
52 目地のはみ出し シリコーン、チオコール目地のはみ出しは割れにつながる 石材に横からの圧力がある。すべての石材                  
53 染色落ち
色落ちは黒だけでなく赤もある                
54 酸あらいによるけこみ損傷 けこみ部分の石材がセメント系である場合や目地部分が弱い例が多い                  
55 玉石テラゾーのはがれ バブル期以後は、現場研ぎ出しテラゾーが御影に変わり、玉石テラゾーが多くなった。石の脱落クレー ムが多い。施工不良                
56 段差 石材との段落が多いものが見かけられる。いわゆるリッページでビルメンに取り大きな負担になる。すべての石材                
57 血液 特にバーナーが取れにくい                  
58 消毒薬 イソジン、リバノール。すべての石材                  
59 ガム すべての石材                  

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