BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
現場における品質管理
1、はじめに
ビルメンテナンス業界においても、とにもかくにも品質管理を実行しなければならない時代に突入しています。品質管理システムを完成した企業が生き残りの権利を得るという時代なのです。とにかく本社の品質管理であるインスペクター制度と民間の品質管理ISOをとりあえず発足させて運用しながら完成を目指さなければならないところまでビルメンは品質表示の実施を迫られているのです。これに取り掛からないと価格は無限に下がる、オーナーのきれいさに対する要求は無限に上がる、これに対してまだまだ低価格で受注する業者が存在するという状態が続くことを意味します。
そしてこの数年大きく変化したのは物より健康という考えなのです。特に今後これが特に要求されるのはハウスクリーニングなのです。たとえばビルメンでは無視されていたパウダークリーニングの残留パウダーと乾燥に強い好乾性かび類の関係、そして以前はなかったPL法があります。この好乾性カビ類の存在は今までのように無視できない問題です。ビルメン業界もカーペット業界にもかなりの負担になるでしょう。
それからカーペットの残留洗剤も厳しくなります。ビル管法改正にも含まれているのはそのような意味合いがあるのです。外国系企業やハウスクリーニングでは清掃に関連してPL法がクレーム原因追及に使われた例が出てきています。
インスペクター制度はきれいさの3段階採点制度であり、ISOは文書によるきれいさの品質管理です。本社における品質管理、紙の上の管理に過ぎません。これに対し品質を現実に実行するのはビルメン現場なのです。汚れている(品質が悪い)きれいにしろ(品質を上げろ)ただし費用はかけるな。危険な洗剤は使うな。というのが我々現場の置かれた状態です。
品質を上げるのは簡単です。人数をいれ作業回数を増やすことですが、現実には受注価格低落の中で実施できない状態です。ではこのような何もできない状態での現場での品質管理はどのように行えばよいのでしょう。それは顧客からクレームがないということです。ビルメンの品質管理(きれいさ)は突き詰めて考えると顧客の満足度なのです。都内のあるホテルチエーンの例をあげますとAホテルは誰が見ても汚く、Bホテルは桁違いにきれいです。おそらく採点ではBと@になります。ところがAホテルではクレームが少なく、Bホテルではクレームの山です。なぜでしょうか? それは顧客満足度がAホテルのほうが高いからです。Aホテルとビルメンの現場責任者とのコンセンサスが取れているからです。まず受注価格が安いこと次に床と壁材がトラバーチンスペリアートという管理しにくい素材であること、(メンテナンスのしにくさを5段階に分け素材難易度といいます、この石は確実にクレームになる難易度5です)これらの条件を発注者側が理解していて、クレームどころかねぎらいの言葉をかけてくれています。この石材はこの状態ではこれ以上安くきれいに管理する技法がないことを理解しているからです。
2、現場の品質管理
このように現場で品質管理がよいということは、オーナーの満足であり、オーナーと現場とのコンセンサスがあるか無いかに尽きます。その現場の人員、受注価格、メンテナンス技法と言う枠の中でクレームがないことは品質のよいことに他ならないのです。
現場の品質管理とはオーナーからクレームを出さないことにほかなりません。
3、クレームを出さない方法
その現場でクレーム防止システムを構築しておくことです。各現場はそれぞれ使用素材、使用頻度、受注価格などすべて異なります。そしてビルメン業界にはすくなくとも40年の歴史があります。過去に起こしたクレームを整理分類し、これを2度と繰り返さなければクレームはほとんどおきないはずです。また今後のクレーム予測もできます。もちろん新しい建築素材や生活様式の変化があります。
新しいクレームもおきてきます。しかし過去のクレーム対応技術や現場で行うクレーム防止テストにより短い時間で対応策が打ち出せます。しかしクレームの分類やデーター化は業界の一部の反対が強く事実上発表できませんでした。当社はクレームの存在を起こしたことがないからそのような研究は係だということです。そしてISO取得企業もよりクレーム研究に対しては特に反対が強い傾向にあります。
4、クレーム事例 研究と発表が可能に
しかし最近の受注価格低落は品質管理の実施がなければ防止できない状態です。おかげで今までできなかった。40年間のクレーム事例約1400例と防止策が公開できるようになりました。
全国ビルメン協会の機関誌ビルメンテナンスに同誌のご好意によりクレームの原点を探るという題でクレーム公開の必要性を発表できました。これによりクレーム事例の公開が認知されたと考えられます。そして同時に提案を行って10年になるテキスト類のCD化による公開も行います。たとえば石材メンテナンステキストもすでに5年になると改定の必要が出てきています。このためにはCD化が必要なのです。
5、クレーム対応の内容
今回ビル新聞のご好意で40年間のクレーム事例を1例ずつ、その防止、対応策とともに現場のための品質管理という題で発表いたします。同時にできるだけ以下の点を併記していきます。
@メンテナンスのやりにくさをあらわす難易度を表示(見積もり、提案書に利用)
A分類は石材、カーペット、などの素材別とハウスクリーニング、ビルクリーニング、ホテルクリーニングなど場所別分類も併用していきます。
Bビルメンの責任の有無(見積もり、)
Cクレームの原因である間違い資料の出所(クレーム根本的防止)
D関連協会のテキストから削除された技法やノウハウの公開、(クレーム防止、修正技術)
Eクレーム写真
これら事例を紙面に発表し、同時に本誌のホームページで公開していけば、これらの写真をダウンロードし、見積もり、積算資料としてカラー写真が引用でき同時に資料が業界で認知されたことになります。このことはこのクレームはビルメン現場の責任でないことをゼネコンやカーペットなどの素材メーカー、ビルオーナーに認めてもらうことです。そうなれば現在サービスにされている作業も料金を請求できます。
現在の石材、カーペット、クレームの50%はビルメンの責任ではないという試算もあります。これらの対応を無料で行うかどうかは各ビルメン本社の考えですが、すくなくとも責任の範囲(クレーム原因、難易度)は明確にしておく必要があります。できればこれは関連協会など中立的な関連協会が行うべきものでしょう。
6、ビルメン現場へのコンピューターの導入
クレーム情報を整理、伝達、対応するにはパソコンが必要になります。クレームの状態を表現するにはカラー写真が必要です。汚れの表現には現在のデジタルカメラとパソコンにも問題点がありますが、これは時間が解決するでしょう。現在カラーが使用できるのは本誌だけです。そこでクレーム要注意資材の同一写真(@黒白写真、ビルメンテナンス。Aカラー写真、ビル新聞。Bインターネット)を比較してください。
左の写真はタイルカーぺットの変形で竹、や棕櫚、やしの織物を使用したサイザルカーペツトでバキューム、が利きにくく、汚れが目立ちやすい。その右は薄いブナ板を貼り付けた製品で塗装されていない。厚さは3mm。両方ともメンテナンスがしにくい難易度5の素材である。
![]() |
![]() |