BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
カーペットのクレーム原因を探る
カーペット・石材は
メンテナンスを考えて選ばれていない
新規物件の低価格カーペットや低価格石材に注意
9月26日水戸市総合福祉会館で(有)クレンリーアートと向島産商の主催によりメンテナンス情報セミナーを開催した。そのときの調査報告を以下に記す。
セミナー目的
@2年前に茨城ビル代行の協力を得て水戸市内の主なビルの石材調査を行い、数年おきにデーターを蓄積し、データベースをくみ上げて今後の入札資料を蓄積している。その時、パワーポイントを使って作成した水戸周辺の石材や、調査したビル20カ所のその後の変化を確認し、新しいデーターを追加した。
A公共物件の使用カーぺットの現状調査と問題点を含んだ現場のカーぺット6カ所の検討を行った。
B2002年上半期のカーぺット受注価格傾向を検討した。
1、水戸周辺で使われているビルの石材(データベース作成)
@近代美術館
A文化センター
B芸術館
Cテクノセンター
などのメイン石材について、経年変化などのデーターを蓄積し、見積もり、積算、提案などの資料として保存。
常に新しいデーターを加える事で他社との差別化が出来る。現場別では現場石材登録表のことである。
2、水戸周辺のビルのカーペットを考える
以下のカーぺットが提示され、現在のメンテサイクルで問題点を解決する方法について討論した。
もちろん現場に人員を投入すれば、ある程度改善されるが、これを行わないで最小限の改善での可能性と原因の追究が目的である。
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| 近代美術館 | 文化センター |
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| 芸術館(ライムストーン使用現場) | テクノセンター |
3、6ヵ所のカーペットの共通点
まず東京・横浜の事務所ビルのほとんど全ては3ミリループのナイロンタイルカーペットである(ビルクリーニング5月号参照)。しかし、ここでは、ほとんど見られないアクリルを使い、その上ビルではほとんど見かけないビチューム(アスファルト)バック獣毛タイプが使用されている。このような選択はあまり見かけなかった。
しかし、最近ポリプロピレンタイルカーペットがかなり使用され、焼きつき事故が多くなった。この点について業界紙に注意を促している。ポリプロピレンは表向きで環境にやさしいとして導入されるが、第1の理由はナイロンより価格が安いことである。しかし、ポリプロピレンは熱に弱く、つぶれやすい性質もある。
このように考えると、この現場のカーぺットは価格第一で選択されたと思われる。
最近カーぺットの選択は入札価格で決まるため、価格第一の傾向がある。使用実績、汚れにくさ、耐久力などがほとんど考慮されないということは、同一のメンテナンスをしてもきれいにならないということになる。すなわちメンテナンスのやり易さは、ほとんど考慮しないで建築素材が選ばれる傾向が強くなっている。言いかえればメンテナンスしにくい素材が増えているともいえる。この場合、特に需要なのは日光による退色である。これらはほとんど考慮されていないと思われる。
以下の6ヵ所のカーペットについて共通点が見出される
| カーペット種類 | 問題点 | |
| 1 | アクリルループ、3ミリ | シミ、汚れ |
| 2 | ナイロンループ2ミリ | 獣道 |
| 3 | ナイロンループ2ミリ | ヤケ、ヨゴレ |
| 4 | 獣毛ビチューム | シミヌキクレーム |
| 5 | ナイロンループ2ミリ | ヨゴレ |
| 6 | ナイロンループ2ミリ | ケモノ |
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| アクリルループタイ3ミリ なぜアクリル物を使用したか? |
獣毛タイプビチュームバック なぜこのタイプを使用したか? |
ナイロンループ2ミリ |
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| ナイロンループ2ミリ ヤケ・耐光性のデーターは? |
ナイロンループタイル2ミリ 獣道 |
ナイロンループタイル2ミリ 獣道 |
4、現場からのカーペットメンテナンスデーターを業界紙で公開を
業界関係誌・紙に記載されるカーぺットに関する記事は、カーぺットメーカーの立場から見ている意見の記事がほとんどである。ビルメン現場の立場から出た資料の公開はほとんど行われていないばかりでなく、ビルメン業界でむしろ禁止している。
このためメンテナンスクレームは全てわれわれ現場の責任にされている。この6例のカーぺットクレームも全てメンテ側の責任だろうか。
今までビルメンはカーぺットメーカーの考えは全て正しいとして対応してきた。特に関連協会はその傾向が強く、われわれ現場はおなじ身内に押さえられてきたともいえる。
いくつかの例をあげると、
@カーペット製品には不良品は無いというが、中性染み抜きで色の落ち るタイルカーぺットがかなりある
A汚れについて定期清掃メーカーは、日常管理の手抜きが原因というが、汚れは 全てビルメンの責任だろうか
Bメンテナンスがよければカーぺットは15年使用できるというが、メンテナンスが
完全ならばカーぺットは新品によみがえるのか?
C裏地が薄いため濡らすと反り返るタイルカーぺットの存在は?
このようにわれわれ現場のデーターでは、メンテナンス上のクレームはカーぺット自体に原因がある場合が
かなりあることを示している。これらの現場の声をビルメン協会の一部講師が押さえてきた。もちろんカーペット
メーカー側は、カーぺットが原因であるクレームを公表するわけがない。
例えば、ナイロンはカーぺット原料の中で汚れやすく、汚れが落ちにくい繊維であり、静電気が起きやすい。最大の利点は耐磨耗性だけである。これらの点は業界紙に述べていない。
また、ダニや乾燥に強い好乾性カビとパウダークリーニングの関係は、まず話しに出せないタブーである。今回のセミナーで取り上げたカーぺットクレーム問題の底には、これらのカーぺットは汚れやすく、汚れが取れにくいということが潜在原因として存在する。
単純に汚れているのはビルメン現場の責任であり、それを解決するにはどのような機械、洗剤を使用すればよいだろうか、という問題の答えは、この場所にこのカーぺットを使用したという事が原因となる。
別の見方では最近、新規受注現場で増加している低価格カーぺットとバブル時のカーぺットでは、メンテナンスの面で違いがないだろうか?、ということも考えなければならない。
安いカーぺットも、高いカーぺットも、メンテナンス価格は同じである。そして、同じきれいさを維持できる、という考えは今後メンテナンスを取り巻く条件の中では不可能になっている。
カーぺットのメンテナンス品質を維持するためには、クレームの原因がカーぺットメーカーにあることをビルメン協会の講師の方々に認めていただき、現場のデーターをくみ上げていただきたい。
5、来年度新規物件の受注に十分な注意を
2003年の受注戦争が始まっている。そして丸ビル、新宿駅ビル等も大規模なリニューアルが行われている。しかしバブル時とは異なり桁違いの低価格でしかも差別化が要求される。すなわちデザイン的な差別化である。このような条件下ではビルメンテナンスのやりやすさなどは全く考慮されていない、メンテナンスのしにくさなどの現場の提案はビルメン本社で握りつぶされ責任だけが現場に課せられている。
新規現場カーぺットについては価格の安いメンテナンスのやりにくい製品が使用される可能性が高い。建築素材メーカは必ずしもビルメンテナンスの味方ではない。メンテナンス法をメーカーに聞き鵜呑みにする事は非常に危険である、業界誌の記事もこのような内容が多い。少なくとも現場で出来るカーぺットの見分け方などを利用してメンテナンス現場のデーターを作成願いたい。
現場で出来るカーぺットテストの一部
各種洗剤しみぬき剤を現場カーぺット繊維でテストする。中性洗剤でも色落ちするカーぺットもある。新規現場ではこれらのテストは行うほうが良い。
1)、低価格タイルカーぺットの注意点
タイルカーぺット激烈な価格競争の中で品質より価格の傾向が強い。そのためメンテナンスのやりにくい、言い換えれば難易度の高いものも多く見受けられる。使用場所と使用頻度によっては難易度5クレーム100%の場合もある。新規現場、リニューアル現場特に入札による公共物件の場合下記のチエック項目をわかる点だけでもリストアツプしておきたい。かなりの率でクレームを防止できる。
2)、石材についての注意点
石材についても新石材、ライムストーン、中国産花崗岩、クオーツサイト、スレート、砂岩。については十分注意が必要である。特にシランなどの保護剤の使用については慎重に行わないと後で修正でない場合がある。特に割り肌物はビニールタイルより低価格品がある。これらの石材のメンテナンスの注意点は機会を見て発表する
6、ビルメン自身によるデータ作りを
このようにビルメン現場に取りメンテナンス条件がますます悪くなる。建築素材メーカーもメンテナンス資材販売業者も自分のことを中心に考えざるを得ない状況である、洗剤や保護剤も販売業者の立場で選択される傾向にある。バブル時はそれでも費用を吸収できたが現在は赤字となり現場に帰つて来る現在最も必要なのはほかに頼らずビルメン自身がメンテナンスに取り組む必要がある。
バブル時とは異なり赤字解消は容易ではない
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新規物件タイルカーペットチェック項目(事務所ビル)
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