BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
下請け企業から見た下請法
下請法は今後、ビルメン業界に大きな影響を与えるために対応が必要
下請け法の詳細が決まりつつある。このことについてビルメン関連協会では、ほとんど関心を示していないが、ビルメンの将来に大きな影響のある問題である。今回、下請け法の適用が拡大され、運送業とビルメンテナンス業も対象になった。その理由は、この2業種に下請けに関する問題が内在していて、早急な改善が必要であるという認識が関係官庁にあると考えられる。
ビルメン業界にとって下請け法を単独に考えれば大きな問題とはならない。しかし、改正ビル管法、インスペクター制度、訪問販売法、個人契約法と、最近のビルメンテナンス関連法規(大きな影響がないように見えるが)それぞれをつなぎ合わせて見れば、ハウスクリーニングまでを含む大きな法体系になり、ビルメンの首を締め付けかねない。
下請け法は公正取引委員会が関係しているため談合に関係している。例えば、本年決着した山口県におけるビルメンの談合事件は、表ざたになったがあまり表面化していない。こうした事例は無数にある。
下請法の影響の大きさを単純に示すとすれば、東京のビルメン大手T社の年始会に集まる下請け企業が600社あることを見ればわかるだろう。下請法が成立した後、下請けとの契約トラブルが無関係でないことは理解できるだろう。
また、バブル時には石材研磨などの利益のでる作業は、実際の作業者だった5次下請けまでが、それぞれ利益を分配して作業ができる時期もあった。しかし、最近は受注価格の低落が原因で下請け階層は浅くなる傾向にある。
下請法に関して現時点では関連協会はほとんど関心を示さないようだが、現場責任者や小規模ビルメン経営者間では、かなり関心が高い。現在、大手ビルメンでは関心が薄いが一部大手の中には、新しい下請け契約を模索している会社もある。
下請けとの明確な契約なしに大部分を下請けに丸投げしている場合は、今後、下請けによる提訴の事例も出てくと考えられる。下請けとの契約を明確にしておくことは今後の生き残りの条件でもある。
下請法では禁止行為として11例に分類している。これについて実際の現場を請け負う若手の下請け業者の間で、各事例を挙げて情報交換がかなり行われている。その事例の中からいくつかを挙げる。これらの中にはビルメン業界独特の事例も多く、今後、現実に提訴された場合は判例とし残ってゆく。いずれにしても電子入札、複数年契約、談合、インスペクター制度など、決して無関係ではない。
以下、下請法の禁止行為について、現場から寄せられた事例を列挙しておく。
禁止行為
ア、 受領拒否の禁止
発注した仕事の代金を支払わない。ビルメン業界では珍しくない。
イ、 下請け代金の遅延の禁止
以前(特にバブル以前)ビルメン業界は人件費の割合が高いため、ほとんど手形は使われなかったが現在は少なくない。
ウ、下請け代金減額の禁止
請求書から一方的な値引き。調布のあるビルメンは有名である。
エ、返品の禁止
現場受注を条件に売りつけられた石材用シリコーンの返品
オ、買い叩きの禁止
禁止したらビルメンが成り立たない。
カ、物の購入強制、役務の利用強制の禁止
ワックス、洗剤の指定、自動床洗浄機の指定とバック、元受作業服の高価格での売りつけ。
弗化水素系洗剤、(石材洗浄)、パークロールエチレン、(空き部屋の布壁、木床洗浄)、農薬系有機リン剤、などの
危険薬品使用する作業の強制(ISO14000取得元受に多い)
キ、報復処置の禁止
営業所を元受と同じ高級ビルから安いビルに変えた。現場を取り上げられた。
ク、有償支給原材料等の早期決済の禁止
大量支給ワックス、洗剤の代金の作業代金との前倒し相殺
ケ、割引困難な手形の交付の禁止
倒産が噂される業者の回し手形(都物件受注業者)
コ、経済上の利益提供要求の禁止
事務所経費の1部負担
サ、不当なやり直し等の禁止
打ち合わせ通りの作業をしたが、元受がオーナーともめて、無料のやり直しを強制。
注、後で埋め合わせるといわれるが最近はほとんど実行されない。との声が多い。
下請け法への対応
ビルメン業界は下請法を全く問題にしていないが、おそらく近い将来大きな影響を持つと考えられる。その時、この法律を頭に入れた対応を取り入れていない会社と大きな差ができるだろう。
具体的には公的物件を失う事例や談合を指摘される事例も考えられる。これらの問題には、常に注意を払うことが必要だ。現在のビルメンで下請けを使用していない会社はないだろう。現実にビルメン業界を支えているのは下請けの現場の人々である。この法律をそれぞれ自社の立場で有利に利用することを研究することが必要だ。