BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
カーペットクレーム一覧表
1、カーペットクレーム一覧表の意味と作成の経緯
クレームの定義はビルメン業界ではなされていない。現在まで大手ビルメンの一部ではクレームの存在を公式には認めていない。そこでクリーニング総合研究所の林先生のクレームとはビルオーナーのビルメンに対する不満の表明であるという定義を引用する。
しかし本年のビル管法改正のその他の基準(7)に記載されたビルオーナーからの苦情とは明らかにクレームを意味し、40年目にしてクレームが法制化により公認され、それを包括する品質管理(ISOとインスペクター制度)が出揃った。
品質の表示にはいろいろな案があるが全て問題がある。しかし、クレームがないことは少なくとも品質が良いことであり、これに対しては大きい異論はないと考えられる。
クレームを記載した一覧表を利用してクレームを少なくすれば、その現場の品質が良いことの証明になる。クレーム表は原因を、@C=カーぺツトAD=洗剤BM=機械CW=作業法の4つに分けている。そのうち@〜Bまでは直接ビルメンにはクレーム責任はない。
しかし、間接的にはクレーム洗剤を選んだ事実、機械の性能低下、吸引力低下などを見逃したことなどはビルメンの責任にされている。それはこの2つが間接的表現ではあるが、今回の改正ビル管法に盛り込まれている。
このことは洗剤、機械が原因のクレームは今までのように洗剤業者、機械販売業者に責任転嫁できないことにもなる。このようにクレーム一覧表は改正ビル管理法、インスペクター制度、ISO9000、そのものであり、これをもたないビルメンはこれらの資格を所有していても中身がないということにもなる。
すなわちクレーム一覧表とはビルオーナーからの苦情、すなわちクレームを現象、対応、原因、対象素材などのファクター別に表にしたものである。もちろん全てのクレームを記載すると解かりにくくなるので、適当な項目で分類する。
素材別では@カーぺットクレーム一覧表A石材クレーム一覧表B木床クレーム一覧表、などに分かれる。また、これらを再分類したものにタイルカーペットクレーム一覧表や、別分類としてハウスクリーニングクレーム一覧表は意外と便利な表である。
この表の原点は50年間にわたるクレーム相談がベースになっている。最も古い表はインテリアクリーニング協会で1965年インテリアクリーニング専門技術者テキストに記載した239例のカーペットクレームをまとめたものが最初である。その後、技術委員会の反対(クレームは存在しないとの理由)で禁止され、クレーム原本も廃棄されたが、我々は私的にクリーニング総合研究所、神奈川県衛生研究所、と意見交換しながら5回にわたり改定を続けた。
クレーム集が公的に認められたのは(社)東京ビルメンテナンス協会で石材メンテナンスのテキストを作成した時、クレーム事例の記載を許されたのが最初である。しかし、クレームは存在しないという大手ビルメンの一部委員やISO関係者によるクレームの研究に対する圧力がかなりあり、クレームでなくトラブルという用語を使用するという条件で許可された。
石材クレーム一覧表はパソコン利用が浸透しなかったので5年間、清掃委員会に凍結されていたが、本年ビルメンテナンスのご好意によりクレームのルーツを探るの中でクレーム表の1ページの1部が20年ぶりに公開できた。しかし原点の(社)ハウスクリーニング協会では禁止されたままである。
2、改正ビル管理法とクレーム一覧表
ビルメンテナンスの品質について、いろいろな議論が行われているが決定的な技法はない。改正ビル管理法は品質の向上を目指していることは明らかであり、少なくともクレームがないことは品質がよいことに他ならない。カーぺツトクレーム一覧表と下記に示す改正法を結び付けてビルメン現場の対応を考えていただきたい。そのために関係する箇所を太字で示した。
改正法(その他の基準)資料 厚生労働省告示(2002・3/26)から
清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第25条第4号に規定する厚生労働大臣が別に定める基準は、同号に規定する方法が次のいずれにも該当することとする。
1)床面の清掃を行うに当たっては、床仕上げ材のはく離又は損傷及び床維持剤の塗装の状況を点検し、必要に応じ、補修、再塗装等を行うこと。
2)カーペット類の清掃を行うに当たっては、汚れ、しみ等の状況を点検し、必要に応じ、シャンプークリーニング、しみ抜き等を行うこと。洗剤を使用した時は、洗剤分がカーペット類に残留しないようにすること。
3)日常的に清掃を行わない箇所については、6月に1回以上、定期に汚れの状況を点検し、必要に応じ、除じん、洗浄等を行うこと。
4)真空掃除機、床みがき機その他の清掃用の機械及びほうき、モップその他の掃除用器具並びにこれらの機械器具の保管庫について、定期に点検し、必要に応じ、整備、取替えを行うこと。
5)収集・運搬設備、貯留設備その他の汚物処理設備について、定期に点検し、必要に応じ、補修、消毒等を行うこと。
6)清掃作業及び清掃用機械器具等の維持管理は、原則として自ら実施すること。これらの業務を他の者に委託する場合は、あらかじめ、委託を受ける者の氏名(法人にあっては、名称)、委託する業務の範囲及び業務を委託する期間を建築物の所有者、占有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものに通知するとともに、受託者から業務の実施状況について報告を受けること等により、受託者の業務の方法が1〜5までに掲げる要件を満たしていることを常時把握すること。
7)建築物維持管理権原者または建築物における衛生的環境の確保に関する法律第6条に規定する建築物環境衛生管理技術者からの清掃作業及び清掃用機械器具等の維持管理に係る苦情及び緊急の連絡に対して、迅速に対応できる体制を整備しておくこと。
3、クレーム一覧表の使い方
この表は1995年版のパソコンで使用することを考えて作成している。言い換えれば各社のカーペットメンテナンスデータベースへの索引表と考えていただきたい。また、この表から各社のデータベースを組み立てて行く方法もある。忙しい現場の人たちには断続的にデータベースを作成しても、その部分だけそれなりに使用できる。
今後、本紙に発表するクレーム事例と写真をリンクして、はめ込んで行けば自然にデータべースが完成する。もちろん同時に自社のクレーム例や現場写真を入れてゆけば自社独特のデータベースが完成する。
これをわかりやすく解説すると、まずこの表をワードかエクセルで作成する。次に今後、本紙で発表するクレーム解説と資料写真を打ち込みリンクを作る。リンクとはこの表の言葉につけたスイッチと考えていただきたい。たとえば表の「クレーム縮み」のスイッチをいれる、(クリックする)と写真1と解説や対応が現れる。
カーぺツトの「シャギー」を押すと写真2が現れる。クレーム一覧表のようなデータベースは厚生科学のような公的資料を中心として、それに自社データを加え製作したものが最良といえる。最近、流行の業者による資格販売やセミナーからの資料は資材販売目的のかたよったデータも多い、アルカリ洗剤はウールに安全だというような説明の場合は、公的機関の裏づけをとらないと時にはクレームの原因になる。この表の最後にあるようなカーぺツト関連の公的機関の電話番号やアドレスを入れておけばオーナーに対しても裏づけのある報告書を作成できる。
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