BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
現場における品質管理
石材クレーム対応編
エフロの責任
エフロとは天然石材やセメントの表面、目地などに塊状、粉状に白や茶色などの石状物質が付着する現象で、これらの除去はビルメンに任されることが多い。原因はこれら石材の裏側の水分が主として、カルシウムや珪酸の各種塩類を溶かし乾燥固化したものであるが、主な成分は通常はセメント由来のカルシウム塩である。
しかし、こうした原因の説明はゼネコンの立場であり、ビルメン現場では、その原因をより広く捕らえなければならない。我々(ビルメン現場)はあらゆる粉状物質の付着をエフロという。
エフロはインスペクター制度の評価では第1にその責任が問題になる。エフロクレームの原因と分類なしにはインスペクター制度の評価は成り立たない。インスペクターの評価がすべてのクレームを引き受けていたら、採算的に労力の面でも現場が成り立たない。
このためビルメンの立場でのエフロの分類が必要であるが、現状は、ほとんどゼネコンの立場の解説であり、現状の定義をビルメンの立場で修正する必要がある。まず明らかにすることは原則としてエフロはビルメンの責任でないことである。
石材の裏側にあるセメントの水分が流れ、これにとけた物質がエフロの元である。まずセメントの中に水が通ることと、塩類やさびを溶かしていなければエフロはありえない。最大の原因はセメントの中に水が流れることである。その原因は施工にある。
ゼネコンがいかに品質の悪いセメントを使用したかは岩波新書(コンクリートが危ない)をぜひ参照されたい。この本のおかげでエフロがビルメン現場の責任でないことが大声でいえる。新幹線の橋脚の品質不良と同じ原因である。
もちろん石材の下に使われるセメントは新幹線のそれと比べても最低の品質が使われている例が多い。@水うめセメントは通常の数倍の水をくわえた穴だらけのコンクリート(スポンジセメント)Aミキサー車の底に溜まる廃棄コンクリート。この2種類が多い。エフロの原因はここにある。対応はセメントの打ち直しで水路をふさぐことに尽きる。
| クレーム名 | ビルメンの責任 | 作業の難易度 | 追記する資料 |
| エフロ | 原則としてなし | 5〜1 | 石材メンテナンス |
| NO | 塩類の種類 | 名称 | 外見 | 原因 |
| 1 | 塩類を含まない | ヌレイロ | 部分的なぬれ色 | 塩類なし |
| 2 | 炭酸塩(炭酸カルシウム) | エフロ | 塊状、棒状、粉 | 塩類 |
| 3 | 炭酸塩(不純物を含む) | エフロ | 赤「さび」茶(木のあく) | 塩類 |
| 4 | 炭酸塩(石材内部) | ナイブエフロ | 部分的に不透明 | 塩類 |
| 5 | 塩化カルシウム | エフロ | 粉 | 酸洗いのすすぎ不足で溶けた塩類がのこる |
| 6 | 珪酸カルシウム | エフロ ウロコ(ガラス) |
粉状 | 塩類(温泉、循環水) |
注1、炭酸塩は塩酸に溶けるが、塩酸は大理石、石炭岩、セメントをも溶かす。これらはエフロと同じ炭酸塩である。ケイ酸塩は弗酸、弗化アンモニウムに溶けるが、弗酸はあらゆる石や陶磁器、ガラスを溶かすため研磨のほうが安全である。しかし、作業が楽な薬品を使いたがる傾向が多い。
注2、噴水などの循環水にメタ珪酸塩が赤水防止用に使用されている場合がある。
注3、温泉にはメタ珪酸塩が含まれることが多く、珪酸エフロがほとんどである。
| 作業法 | 対象 | 難易度 | |
| 1 | ポリ洗い、高圧洗浄 | 初期のエフロ(すべての石材) | 1 |
| 2 | 酸洗い(塩酸) | 炭酸塩エフロ(花崗岩系、陶磁器、ガラス) | 3 |
| 3 | 酸洗い(弗酸系) | 珪酸系エフロ(花崗岩系、陶磁器) | 5(クレームと隣り合わせ) |
| 4 | 研磨 | すべての石材 | 4「手間がかかる」 |
注1、エフロが初期の粉や寒天状の場合は、ブラシ洗浄や高圧洗浄で簡単に取れる。
注2、白大理石に生じる内部エフロは対応不能。
注3、セメント目地は酸に溶ける。
注4、酸に溶ける、花崗岩(モンチーク)、砂岩(オーストラリア砂岩)など例外に注意。
注5、シランなどの撥水剤の残りがあると、むらが生じる。これらを取り去ること。
注6、高圧洗浄の場合、目地の掘り、砂岩の損傷に注意。
注7、弗酸系処理は、磨き仕上げの方がバーナー仕上げよりクレームの危険が多い。
注8、原則として磨き面には弗酸系洗剤は使用しない。
注9、各種仕上げ法を併用することも多い。
注10、弗酸系洗剤は毒劇物であり、皮膚から浸透し骨をおかす。能率はよいがスプレー散布は厳禁。表示が不十分な商品もあり、十分確認を行う。
注11、蓚酸が使用される場合もあるが、すすぎを十分に行う。
提案書の必要性
エフロは以上述べたように述べたように、ほとんどがビルメンに責任がない。責任があるのは、酸洗いのすすぎ不足やトイレの塩酸使用による塩化カルシウムの粉ぐらいであろう。そしてエフロのひどい事例では、対応頻度が毎日で、発生面積は数百m²に及ぶ例もある。また、赤水防止薬剤が原因の場合も多い。特に雨水や工業用水を再使用している場合は、負担の多い珪酸エフロが多く、現場の手間は大きい。必ず提案書を提出して原因、対策をオーナーに対し明確にしておく必要がある。
これらの対応を無料で行うのは各社の勝手であるが、作業費用は理論的には請求すべきである。また、洗剤は高価な専用洗剤でなく、10%以下の安価な工業薬品で対応できる汚れも多い。石材加工業者の使用薬品も参考になる。
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| 代表的エフロ | 内部エフロ | 循環水エフロ |
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| 棒状エフロ(鍾乳石) | 濡れ色(炭酸塩などを含まない水分) |