BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
2003年問題(オフィスビル大量供給)によるカーペットの変貌
40年前のカーペットメンテナンス制度を再検討する インスペクター(評価判定)制度があった!
前編ではカーペットの変化を中心に考えた。しかし、変化はそれだけではない。@法律的条件(PL法、改正ビル管法、インスペクター制度)、A技術的条件(コードレスバキューム)、B受注価格低落、C環境問題(ハウスシック)など、今までにない各種条件が出そろった。これらの組み合わせにより、ますますビルメンの清掃現場には難しい時代が目の前にせまりつつある。こうした問題の対応を探るため、過去のカーペットメンテナンスシステムを振り返る必要がある。
なぜなら、今おきている問題は、30年前の保証カーペット時代に非常に良く似ているからだ。ただし、環境問題は現在ほど大きくはなく、PL法は存在しないので、この2点は大きな相違点であることをお断りしておく。
非常に面白い点は、その当時、今のような立体化カーペットが存在し、無料敷き変えや保証制度などのメンテナンスシステムが10年間も存在していたのだ。見方によれば現在のメンテナンスより優れたシステムである。もちろん、ビルメンのための制度ではなく、商社や繊維メーカのための制度であり、一部のビルメンテナンス幹事会社が、分け前に預かったに過ぎない。
10年間存続したこの制度を検討し、ビルメン各社のシステムに組み込むことにより、その中から今後の各社のビルオーナーやコンサルタントに対する受注価格切り下げなどへの対応システムを組み立てることができるのではないだろうか。
すなわち過去にミラサムシステムでおこなわれた10年間のメンテナンス制度を再検討することにより、現在のメンテナンスが、将来およぼす影響について予測が可能であると同時に、今後、発生する問題点を予測することが可能となる。
保証カーペットとは、今から40年前、事務所ビルの床をカーペット化する大手商社が作り上げた保証付きカーペット販売システムである。三井物産、三菱商事、住友商事など、ほとんどの商社が取り組んだ。ここでは三井物産のシステムだった、ミラサムシステムを例に挙げて説明する。
その概要は、ミラサムシステムに加入すれば @カーペットのきれいさを一定に保ち A10年間の耐久性 Bビニールタイルより安い管理費――以上の3点を三井物産が保証するというもの。保証の条件は @ミラサムシステムを会得したビルメン業者による科学的、良心的メンテナンスを実施する A4段階のインスペクションを受け入れること。以上の条件で使用されたカーペットが保証条件を満たさないときは、三井物産がカーペットの無料敷き換えを含む保証を行う―ということである。
そして、ミラサムシステムが現場で実際に行われているかどうかを調査確認する制度がミラサムインスペクター制度である。
| ミラサムインスペクション制度 | ||
| インスペクションの種類 | 実施部門 | |
| 1 | サイドインスペクション | 現場の所長 |
| 2 | レギュラーインスペクション | 三井物産で教育を受け権限を委託されたインスペクター(ビルメン社員) |
| 3 | ゼネラルインスペクション | 物産よりその現場を委託された幹部インスペクター(幹事ビルメンの社員) |
| 4 | マスターインスペクション | 物産社員 |
| 注)幹事ビルメンとは胴元になり、ビルメンを束ねるメンテナンス会社で 三井物産と大成、三菱商事と第一建築サービス、住友商事と白洋社など。 |
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1、インスペクター制度の歴史
商品の販売には品質の表示が必要である。品質が決まらなければ価格が決まらない。ビルメンテナンスの場合は見た目のきれいさである。そのきれいさを判定するのがインスペクターである。しかも消費者を納得させなければならない。自分の立場からだけの報告書では、消費者は裸の王様に過ぎない。永い間この問題の取り組みを禁じてきたビルメン業界も取り組まざるを得ない状況にある。そして現在、全国ビルメンテナンス協会が進めているインスペクター制度を成功させるためには、過去の事例を理解するのが条件であろう。
ビルメン が取り組むインスペクションには2つ流れがある。
@大手商社などによる保証カーペット制度
A厚生科学研究による透視度法、フィルタ ー法、テーピング法である。
インスペクション制度に必要なことは、消費者が納得することと結果の保証である。これらの問題点は、
現在、ビルメン協会が行うインスペクションと過去のミラサムインスペクションを表記してみるとわかりやすい。

2、品質管理測定機材
ミラサムシステムでは、きれいさも保証のひとつで、このような機材を使用して、きれいさを判定した。
JISのグレイスケールを拡大解釈してカーペットの上にのせ、汚れを再現する。
3、現在のインスペクション制度に過去の事例を生かす
しかし、三井物産、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事などの後ろ盾で行われたインスペクション制度がなぜ消滅したのだろう。この点も検証することが必要だろう。同じ間違いを繰り返さないためにも、消滅した制度の何が問題だったのかを探り出し、その問題点を改善して現在に生かすことが重要ではないだろうか。
改正ビル管法、ISO取得などで、ビルメン業界も具体的な品質管理に取り組まざるを得なくなっているのは事実である。このため現在のインスペクター制度を成功させることは避けて通れない。そのためには、こうした過去のデーターを見直すことが必要であることを訴えたい。
| インスペクション制度比較表 | ||
| 比較項目 | ミラサムインスペクション | ビルメン協会インスペクション |
| インスペクション範囲 | カーペット | すべて(床、天井、壁面など) |
| 金銭的保証 | 三井物産による無料交換 | なし |
| 技術的保証 | 三井物産、三菱バーリントン | なし(第三者機関で保証期間を検討中) |
| きれいさの基準 | グレースケール(ガラス板) | インスペクターによる眼視 |
| インスペクション教育 | 三井物産ラボラトリーで1週間 | 協会の資格制度(第三者機関に移行) |
| 実技教育 | あり、染み抜き、補修 | なし |
| 使用資機材 | 機械、洗剤指定 | なし |