BM技術講座
木村光成(木村ブラシ代表)
2003年問題はビルの内装材でもおきていた!
カーペットが大きく変わる 1 高度な技術が要求される
オフィスビルの大量供給を意味する03年問題は、需要と供給のバランスを崩し空室率が増加することをクローズアップしているが、03年問題をビルメンテナンスの現場から考えると、最近完成した丸ビル、六本木ヒルズ、汐留などの新超高層ビル群でカーペットが大きく変わっていることに気づく。
不況の中で次々に完成する03年問題の超高層ビルは、全体的に金をかけずに豪華に見せる傾向があり、いかに過去のビルとの違いを見せるかを工夫している。こうした見た目を良くするために、最も安く実現するのは床材と壁材である。なぜなら、歩くとき必ず足元を見るため目に入るのは床材のカーペットだからだ。
しかし、カーペットの変化はビルメン現場にとり、良い変化とはいえない。これらのカーペットはいままでと異なる技術を要求しているのだ。新しいカーペットの清掃手法は、ビルメン現場が作り出さなければならない。それを生み出すのが過去のデーターである。カーペットメーカーに要求するのは間違いである。なぜならば現場の汚れを一番理解しているのはビルメンメンテナンス業者であり、現場ごとに最良のメンテナンス手法を作り出すのが仕事であり、メンテナンスのプロだからだ。
この厳しい時代、床材メーカーは新製品の開発に手一杯であり、清掃のことまで細かい研究はできないのが現状である。また、メンテナンスは現場ごとに異なる、使用条件が異なれば当然のことである。そして各現場の最適な仕様を作るには多少の時間がかかる。カーペット3年、石材7年といわれるが、それを短縮するのが、過去のデーターと現場測定法である。
最近のビルに敷かれているカーペットは下記の3つに分けられる。
1、カーペットの立体化とは
カーペットの立体化とはビルメン現場の人たちが2年ぐらい前から言い出した言葉で、それまでのカーペットはバブル崩壊の下では価格的な制約が強く、せいぜいオーバープリントが関の山であった。これに近いテクニックは石材でも見られる。しかし、これらはあくまでも2次元の世界である。ところが新しい立体カーペットは、3次元的ともいえる大きな変化で、技術的な対応が必要であり、ビルメン各社の技術力が問われる。言い換えれば各社の差別化となるだろう。
これがカーペットの立体化である。2次元より3次元のほうが清掃はやりにくいが、見た目は、今までにない空間が演出される。その上に3次元カーペットを強調するため、今までにない色使いと照明の使い分けをしている。
六本木ヒルズの特徴は、我々ビルメン現場から見ると照明の合理化である。この点が丸ビルとの違いとして考えられる。照明の照度、輝度、演色性がカーペットメンテナンスの品質に大きく関連してくる。擬似的汚れがビルメンの責任にされることも多くなるだろう。
色差によるきれいさの判定などは、ますます現場では誤差が大きくなる。ビルメンの現場では立体化カーペットと呼んでいるが、カーペットメーカーではテクスチュアード、ループパイルと名づけている。我々、現場が言うカーペットの立体化すなわち凹凸は、カーペットメーカーの言うテクスチュアーである。
凹凸はハイロー、マルチレベルループ、ループアンドカットなどと呼ばれている種類のカーペットである。下にテクスチュアーを図示する。
なお、青はループ。緑はカット。高さの違う場合は高い順から、ハイ、ミドル、ロウで表示する。
| 2003年ビルのカーペットの変化 | ||
| ビルの分類 | カーペットの変化 | |
| 1 | 2003年新築ビル | 立体化カーペットの採用(安くて大きな変化) |
| 2 | 新築ビルへ移転されたビル | ビニールタイルからタイルカーペット タイルカーペットからより安いカーペット ポリプロピレン、アクリル |
| 3 | 移転した空きビルに移られたビル | ビニールタイルからニードルパンチ |
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| 図1 カーペット全面にランダムな模様が浮き出ている。 以前は、オーバープリント技術で行われていた。 |
図2 カーペットに凹凸をつけて模様を浮き出している。 |
2、過去に使用された凹凸カーペット
過去にもこのようなカーペットが使用されていた。もちろん現在のように模様を演出するテクスチュアードループではなくマルチレベルカーペットである。
今から30年前にはじまった保証カーペット。ミラサム、ダイア、ワッカムなどであり、ビルメンの元を築いた大成、第一建築サービス、白洋舎が大宣伝をしたシステムの中にマルチレベルカーペットが含まれていた。これらのシステムは三井物産、住友商事、三菱商事、東レ、三菱バーリントンが中心になった大プロジェクトであった。
当時の凹凸マルチレベルカーペットはFGM200と呼ばれ、エレベーター内部、共用部の要所などに使用された。そして7年で姿を消した。
もちろん現在のテクスチュアード、ループパイルとは同じではないだろう。30年の進歩がある。しかし過去のデーターのおかげで対応策の作成時間が短縮される。
特にFGM200の裏データーといえる、どのような理由で姿を消したかは重要である。当時の資料からテクスチュアード、ループパイルの当面の問題点が浮きあがる。@バキュームが掛けにくい Aバキューム効果が悪い Bスピンパットの効果が悪い(当時はあまり使用されなかった)などである。これらの問題を解決することがテクスチュアード、ループパイルの現場マニュアルが作成できる。
ミラサムシステムは商社の販売システムであるが、ビルメン関連協会のテキストはほとんどこの抜書きである。定期清掃は年1回という固定観念も、前記3社の指導書に始めて明記された。
現在現場の 人たちと協力してデーターの収集中であり、図5のように現実に使用されているテクスチュアード、ループパイルのサンプルを集め 交換配布してデーターを収集している。
次回は、この機会に禁止されているはハイロウカーペツトの現場での見分け方、データの取り方、清掃機械の現場実測、吸引力の測り方(バキュームの効率測定)、それに現在から見たミラサムシステムの評価などについて述べる。
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| 図4 | 図5 |