BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)


今年のハウスクリーニング業界の動きと注意点

 ハウスクリーニングの受注傾向は、都心の新築分譲マンションの増加で移動が活発になり、引越しによる清掃が多く、例年の空き部屋清掃もほどほどの受注があった。しかし、業者の増加と競争の激化で受注価格は低落している。

 また、夏を前に空調クリーニングも仕事は多い。その理由の一つは価格低落にあるが、天吊り型で2万円ともいわれている。手抜き作業の苦情も耳にするため、価格の低落が仕事の品質を落としているという証拠であろう。客先に作業の内容を確認してもらうことが価格低落の歯止めといえる。

 ハウスクリーニング業務を実施するうえで注意すべき点は、リニューアルと同等の仕上がりを期待されることである。特にこの傾向が強いのは、バブル期の高級マンションや邸宅の石材,木床として使われている、大理石、チーク材などがある。

 張替えでは費用が高くなるため、クリーニングで入居時の輝きを取り戻したいと考えて注文する場合が少なくない。しかし、大理石やチーク材などは、ハウスクリーニング業者の技術知識が低く、十分な対応ができないのが現状である。このため、受注する際は、少なくともこれらの素材の見分けは必要である。
 また、普及が定着しているカーペットにはダニが生息し、接着剤を使う木にはホルムアルデヒド放散の危険がある。現在、問題にならないのは石材と無塗装の木である。カーペットの販売量は、トルコ段通などの輸入品は増加しているが、全体的には横ばいである。

 マンションの共用部は、歩行時の音を防ぐためナイロンタイルカーペットが多く使われている。しかし、室内の敷き詰めカーペットは少なくなっている。

 現在、マンション室内床の流行は、フローリングに中敷きウールカーペットである。これはメーカーが、ホルムアルデヒドを吸収するウールカーペットと宣伝していることがかなり影響している。また、分譲マンションでは床下暖房も一般的になりつつある。

 このほか、注意が必要なのは、一部業者がシリコーン撥水剤を床材などに塗布している点である。撥水剤を塗布することで石材、木材にワックスが塗れないといった制限がでるほか、洗剤がはねたり、ワックスが塗布できないという蜜着不良などのクレームにもつながる。したがって、見積もり時に必ず撥水剤の判別をすることが重要になる。

 ハウスクリーニング関連法では、個人契約法が2年目に入り、訪問販売法とPL法、リニューアル関連法規とクレームが絡みあう状態にある。

 また、ハウスクリーニングが扱う素材は、石材、カーペット、木が複雑に入り組んで使用されているため、ビルメンテナンス業務と比較して、かなり高度な技術が求められる。

 営業面では、ダスキンなどのフランチャイズ系に加えて、建築設備関連のリニューアル業者の参入が多い。さらに保険、銀行などをリストラされた人が独立して、営業時に訪問していた客先を対象にハウスクリーニング業務を獲得するという参入もあり、競争が激化している。


1、カーペットクレーム
 シックハウスの影響で接着剤使用のない、織りカーペット(ウイルトン、アキスミンスター、段通)繊維では、ウール、綿など天然素材が好まれる。染料は天然染料使用がポイントで輸入段通が売れている。このためビルのクリーニングと異なり、かなり高度な技術が要求される。
 クレームは縮み、乾燥不良(綿、レーヨン)、しみ抜き不良(シャギー白)、洗浄後の臭いなどが多く、特に「約束したしみが落ちない」「ペットの臭いがとれない」というクレームが多い。
 これに対してタイルカーペットのクレームはほとんど加熱によるもの以外はない。家庭用の400mm角のタイルカーペットは、パネルカーペットと呼ばれて多用されつつある。ゴミ袋の素材に近いポリプロピレンが使用されているものが多い。120度で軟化する。


2、スチームクリーニングによるクレーム
 塩化ビニールは60度、ポリプロピレンは120度を超えると危険である。温水加熱型のスチーム洗浄機では50度程度であるが、本物のスチーム型は120度を越えるため家庭用カーペットは危険である。壁紙、ビニールタイルには塩化ビニールがあり変形や溶解の危険がある。

120万円の段通であるが、バブル時の土産品に偽ものが多い。
アルカリ洗剤は使用してはいけない。
むしろ酸側に調整した洗剤を使い、色なき、変色に
最大の注意を払う。
段通洗浄の基本を守ることと、房の仕上げがポイントになる。
アクリルのシャギーカーペットは毛先が黒くなる吸い上げクレームが多い。



3、無塗装、むく材床クレーム
 木床が増加している。ホルムアルデヒドの関係でむく材、無塗装物の増加が目立つ。厚生労働省のホームページでアレルギーに対して は無塗装が良いとの掲示がある。そのため塗装材では問題にならない洗剤による、ぬらしすぎで @そり A膨れ Bわれ Cきしみ、などのク レームが多発している。なお引き渡し清掃時の傷とオーナーがつけた傷では対応が異なる。しかも弁償問題につながる例が多い。むく材 は濡れに対して、ウイルトンカーペット並みの注意が必要になる。

4、石材の注意点、珪藻土塗り壁
 ハウスクリーニング業務の対象石材は大理石 が中心である。マンション入り口などは花崗岩が使用されているが、専用部はほとんど大理石系である。
 最近はヴィトン、シャネ ルなどのテーマ石材のライムストーン(石灰岩)が流行で、これらのベージュと以前からの白が主流である。芝浦、みなとみらい、六本 木などの高級マンションは大理石を使い、中級マンションや戸建て住宅はバブル後、価格の安いライム、クオーツサイト、スレート、砂 岩などを磁器物、セメント擬石と混在して使っている。
 特に磨きを行わない割り肌のスレートはビニールタイル並みの価格で広く 使われている。石材類似のテラコッタ風の陶器も多い。また、クレームが多発している有害物質吸着素材、珪藻土系の素材の水ふきは禁 物である。木床、石床ともに床下暖房が増加しているため気配りが必要になる。
 これと同じ素材には、バブル時のイタリア産、素 焼きレンガやテラコッタがあり、一時期流行したが、あまりに汚れやすく現在、本物は下火である。
 注意が必要なのは珪藻土塗り 壁で、さわらないことが一番である。

事務所ビルや一般マンションはブナ、ナラ、
カバ、イタヤが大部分であるが、
ハウスクリーニング業務の対象はヒノキをはじめ、
チークなど多くの種類がある。
ビルメンのための木材辞典参照。
落とした水滴は瞬時に吸い込まれる。
メーカーの指示するゴム消しやカビキラーでは
汚れは落としきれない。取替えが最良の方法。
代表的な有害物質吸着素材で一種の素焼き板で、主として壁などに使用される。湿度が高いときは、水分を吸収し、低いと放出する。また、臭いやホルムアルデヒドを吸着して取り除く。トイレなどへの使用が多い。しかし、性質上水分を落とすと左のように瞬間的に水分が吸収される。このため、お茶やコーヒーなどのしみができやすい。また、汚れたタオルなどで水拭きを行うと瞬時に汚れが広がり取れなくなる。



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