BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)


ビルメンの近未来を展示会から予測する


 今年の3月にビルメンテナンスに関係する展示会であるホテルレストランショーが開催された。今回で第33回を数える歴史のある展示会だ。始まったばかりのときは、ビルメンに関する内容はそれほどなく、別に開かれていたクリーニング資材展がビルメンに関連した展示会だった。
 当時、晴海で開催されていたこの2つの展示会には、カーぺットクリーニング機材として、クラークやヒールド、アドバンス、フォンシュレーダー、サーテフアイド、日立、の各社がカーぺットマシンを展示していた。そのときからカーぺットクリーニングの傾向が示されていた。
 しかし、最近の展示テーマは「癒しと健康」が主である。最近、話題になったレジオネラ、温泉の誤表示などの問題がかえって関心を呼んだ傾向がある。こうした環境衛生問題はホテル、レストランの命取りである。こうした展示会の視点は、ビルメン業者の目から見ても、今後の業界の方向性やビルメン各社の使用資機材を選択する上でのデータベースになる。
 展示会には、ペストコントロール協会が出展しているが、殺虫剤、殺菌剤への風当たりの変化を示している。このようにホテルレストランショーは盛況であるように見えるが、30年前と比べて価格に対する厳しさは当時と桁違いである。
 展示会の利用法は、ここ10年で大きく様変わりした。周辺業界からビルメン業界を見ることが不可欠になりつつあることを感じる。展示会に足を運んで見た光景であるが、出展業者が声をかけているのは、管理会社関係のコンサルタントが多かったことである。コンサルタントは、管理費の切り下げ材料を探しに来ているわけである。そのニーズとコスト削減を売り物にする出展業者の需給バランスが一致しているということである。ビルメン業者はビルメンの展示会も必要だが、関連の展示会にも目を向けていただきたい。
 その代表的な展示会は建築建材展である。この新しい展示会もすでに11回目になる。ビルメン業界の技術的裏付け、クレーム予測、今後の方向性を推し量るには欠かせない展示会である。しかし、ここ数年、展示会そのものに変化が見られる。数年前まで常連であった大手メーカーが姿を消し、昨年まで大規模な展示スペースを構えた業者が1回で姿を消すなど、このような傾向は数年前まではなかった。
 その原因は、インターネットと展示会の多様化だと思う。数年前から建築資材展は会員制の大型のネット網を作成していた。これによりある程度、絞り込んで後はショウルームで現物を検証すれば顧客サービスを効率化できるとの考えであろう。今まではなじみの業者の小間を訪ね、業界の動向や展示品の変化についての質問から傾向を予測できた。しかし、この手法が使えなくなりつつある。他の展示会や新築ビルの現場情報などを総合して推測する必要が出て来ている。特に今年はかならず出展していたカーぺットメーカーの姿がない。 常連の大メーカーは3Mのみである。その他は小粒のエコ関連の業者だった。
 ビル屋上緑化システム(写真中央)、エコ塗料、天然オイルなどなど。そこに感じるのは景気の底冷えである。資金にゆとりがあると見られる大手メーカーと言えども、展示会の効果を対費用から厳密に考えているということであろう。常連の東リもカーぺット専門展示会に特化していると思われる。
 各種の展示会を見ていて感じたことは、昨年の秋からカーぺットに動きがあり、ビルメン業界への影響が大きいと考えられる。それは大型店舗にカーぺットが返ってくる可能性があることだ。ビニールタイルをつやで、いやというほど光らすウエットルックから、癒しのカーぺットへの切り替えである。これはホテルレストランショーからも裏付けられる。
 カーぺットの癒し効果を強調した売り込み手法は、20年前の保障カーぺット「ミラサムシステム」と全く同じ内容である。しかし、日本のカーぺットメンテナンス技術はアメリカに比べ非常に遅れている。その証拠に外国では耐久度が30年(以前は10年)である。
 10年前に姿を消した世界共通のカーペットメンテナンス技術販売本部がカーぺット技術認定を行い、活動を始めて再登場し役者は揃った感じがする。ただし受注価格は20年前よりはるかに厳しい。このためカーぺットの寿命を30年に設定したともいえる。このように周辺展示会からビルメン業界を見ると見えないものが見えてくる。
 同時に開催のフランチャイジー展はベンチャー企業の集まりであり、どちらかといえば保守的なビルメン業界の将来の予測が出来る展示会である。今年の傾向は、業界の牽引車がまだなく模索中の状態といえる。鍵の救急車や水道トイレの24時間修理もほぼ展開を終えた状態といえる。換気扇、クーラー清掃は一般化して、もはやフランチャイズの分野ではない。しかし、ハウスクリーニングの分野は、まだ展開の余地があるともいえる。久しぶりでミニメイドサービス、トータルサービスの出展があり、そのほかにも2社ほどが顔を出している。
 今回の注目点はセミナー業者の動きである。フランチャイジー展はこのようなセミナー業者が多いのが特徴であるが、フランチャイジー本部を成功させる方法と儲かるフランチャイジーの選び方が同時に行われていることである。日本もアメリカ並みになりつつあり、今までのわが国独自の政府直轄システムである公益法人システムが崩れつつある現実をセミナーの内容から見てとれる。インターネットの重要性、技術データのネット販売など、最先端を行くのがこの展示会かもしれない。ビルメンが取り入れなければならないものもここにあるかもしれない。今、必要なものは本物を見分ける目である。



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