BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)


フロアーポリッシュ工業会へのお願い

 フロアーポリッシュ含有の可塑剤、トリプトキシエチルフォスフェート〔有機リン系化合物〕で同工業会がもめている話が伝ってきた。原因はあるメーカーが舌をかみそうな可塑剤(トリプトキシエチルフォスフェート)を含まないワックスを発売し、オーバーな宣伝をしたとして他社が反発したことにある。
 現在ビルメンテナンス業界は非常に困難な時期にある。安くて性能の良い資材が求められている。そして、世間は全て環境問題と省力化(低価格)の2つをうたえば、商品が売れるのは事実である。
 マイナスイオン、清掃がいらない光触媒、あらゆる汚れがおちる万能エコ洗剤、あらゆる汚れを落とすスチームしみぬき機、ワックスに替わる10倍耐久床用塗料、自然にやさしい酵素、カーぺットの沈んだ汚れを取り去る炭酸ガス洗浄などであり、30倍使用の洗剤より300倍使用の洗剤のほうが魅力的である。価格切り下げに苦しむ現場にとり全て夢のような話が充満している。これらを購入すれば現在の悩みが解決されるかもしれない期待を抱かせる資材が多い。
 しかし、これらの中には少しずつ、ずらした理論を積み重ねた眉唾の商品もある。そしてこれらの資材を使用し、結果が悪ければ責任を取らされるのが現場である。もちろんこれらの最終選択は使用者すなわち現場の選択である。
 企業であるからには販売が目的であり、当然、自社製品の利点は強調し欠点は述べたくない。商品には必ずプラス面とマイナス面がある。もしその商品があらゆる点でプラス面だけであれば、類似商品は市場に存在できず、その商品が独占状態になるはずであるが、ビルメン業界にはまだその様な商品は無い。販売業者はその商品のマイナス面は法的な表示の義務がなければ述べなくとも良い。
 しかし、公益法人や都や国の研究所は公正な立場で評価しなければならない。最近これらの公的試験を業者が上手に利用することもある。試験結果は提出サンプルについてであり、販売品の全てのロットについての評価ではない。
 このような販売品とテスト品が同じでない事例がないわけではない。特に輸入品の洗剤に見受けられる。また輸入品が全て優良品とは限らない。スチーム用洗剤の中にトリポリ燐酸ナトリウムをふくんだ洗剤は、先に述べた可塑剤の燐と比べて桁違いの量を含んでいる。成分を英文で表示していたり、少量をつめ変えて販売したりされているのが現実である。
 我々の見る限りフロアーポリッシュ工業会会員は、高い技術レベルをお持ちの会社であり例記したような商品を取り扱う会員は見当たらないし、フロアーポリッシュの品質も甲乙つけがたい。また一部輸入品に見られるサンプルと現物が大きく異なることを疑わせる製品もない。
 そしてフロアーポリッシュ工業会はビルメンテナンス関連業界ではなくてはならない化成品、(洗剤、ワックス)の公的団体であり、現場にとって難しい化学の正しい知識を我々のレベルでやさしくご指導いただける唯一の団体である。
 そこで、ぜひお願いしておきたい事がある。最近、現場の人たちの集まりがありそこでこの問題を考えた結論として、現場に対して現実に即したご指導をおねがいしたいということである。私どもは過去20年間、インテリアクリーニング協会、東京ビルメン協会、ハウスクリーニング協会などでカーペット、石材、クレーム対応などのセミナーを開催したときの現場の人々からの質問をたびたびフロアーポリッシュ工業会に相談した。しかし、わかりやすい説明はなかなか受けられなかった。フロアーポリッシュ工業会は雲の上の組織というのが20年間の印象である。

 たとえばこのような事があった。ワックスと言う言葉を使用したらワックスではなくフロアーポリッシュであるとのお叱りを受けた。
 そこで過去20年間に上記の協会関連でお尋ねした事例を挙げてみる。ぜひこれらの事例に対しご説明いただけないだろうか。そしてビルオーナー、消費者、そして現場のわれわれなどの啓蒙にご協力願いたい。
 1、年末になるとテレビコマーシャルで何でも落ちる外国製洗剤、しみぬき剤が紹介される。現場はオーナーからテレビの洗剤を使わないから落ちないと責められる。そこで、本当に万能洗剤しみぬき剤は存在するのか?
 2、最近300倍以上で使用できる洗剤がまた増えている。界面活性剤1%以下の洗剤を300倍使用で理論的に効果があるのか。ミセルが形成されるのか。オーナーから30倍より300倍で使用できる商品を使用するように指導された。
 3、塗料とフロアーポリッシュの長所・短所について。最近、塗料がフロアーポリッシュをしのぐとして販売されている。そしてフロアーポリッシュは時代遅れとされている。これらの塗料や撥水剤にはフロアーポリッシュと比較して欠点がないのだろうか。またワックスと考えられる製品が、塗料として販売されている例もある。最近ポリッシュ工業会の優れた規格の影が薄い。代わりに鉛筆の硬度表示が氾濫している。人が歩く床に塗布する条件で鉛筆の硬度表示の方が協会規格より優れているのだろうか。
 4、クレームを起こしやすい建築素材の存在。タイルカーペットの中には現場から見て欠陥品と見られる製品も多い。水で色の出る製品、反り返るタイルカーペット、これらに対してフロアーポリッシュ工業会はビルメン現場の味方をしてもらえないのだろうか。クリーニング業界ではクリーニング総合研究所が不良品、クレーム品を公表している。
 5、ノンリンスという用語の意味
 すすぎをしないという意味が現場の首を絞めている面がある。拭きあげやすすぎを行うとノンリンス洗剤を使用しないのが悪いとオーナーに指摘される。ノンリンスという用語の正確な意味を教えねがいたい。ある意味でノンリンスの用語は定期清掃費用のビルメン負担論の根拠になっている面がある。
 6、ぜひ今後お願いしたいことは、建前では存在しない危険な洗剤を現場が使用せざるを得ない現実がある以上、使用上の注意を自社製品でなくとも現場にご指導願いたい。
 受注価格の無限の低落は下請け現場にしわ寄せが来ている。作業者の危険より、その場の効率である。最も注意の必要な作業は@弗化アンモンAパークロールエチレンB有機リン系農薬これらのスプレー散布である。
 これらは現実に使用されている。弗酸系洗剤は石材、外装関係で使用され、塩素系溶剤は本年のビルクリーニング士の試験に油溶性しみぬきとして出題されている。農薬系有機リン剤の使用が1部ではあるが、存在することは改正ビル管法にも示されている。そして最も作業性が良いのがスプレー散布である。本年新型耐溶剤スプレーヤーの発売はその裏づけといえる。
 関連協会があまり取り組まない現状では、お願いするのはフロアーポリッシュ工業会以外にはない。ぜひこれらの危険性と取り扱いについての知識をご指導願いたい。知識なしに現場が使用するのは最も危険である。これらはクリンクルーの身体に影響する事柄であり、そのほかに対象素材に理論的に影響の考えられる洗剤類は多数存在する。
 たとえば「高アルカリ性であるがウールに使用できる」と説明のあるしみぬき剤などは、クリーニング業界や羊毛業界(国際羊毛事務局など)では考えられない。また自然にやさしいということはビルメン現場にとり全て良いことだろうか? これらのマイナス面があることをオーナーに理解してもらう必要がある。
自然にやさしいという利点を他業種(販売業者、ISO業者)が取り、効率の悪さだけを下請け現場に押し付けている面がないとはいえない。たとえば危険だが、農薬系有機リン剤は価格が安く、効果は絶大であるという事実がある。この事実は受注価格の低落という現象と背中合わせでもある。
 また現場にとって高濃度弗酸、高濃度過酸化水素使用の危険と、亜鉛含有ワックスや有燐洗剤の使用とどちらが現場に取り危険であるかもお考え願いたい。おそらく性質の違う問題の比較であり答えようがない、またはそのような薬品を使うのが悪いという回答であろう。しかしわれわれ現場では切実な問題であることを何とかご理解とご協力いただけないだろうか。
 少なくともこのような作業の場合、危険手当が取れれば価格低落の歯止めにもなる。自然にやさしいということは現場に取り、必ずしも利益だけではないのではないということを広く理解していただきたい。
 今より安全なワックスを業界が求めるなら、まずアクリルとスチレンを取り除くべきであろう。そして天然ろうのみの使用に限定したら、それにより性能低下はないのだろうか?そして最も安全な洗剤は水になるだろう。
 一部の販売業者が言うように石油系界面活性剤は全て悪であろうか?再度取り上げるが氾濫しているノンリンスという用語もフロアーポリッシュ工業会が公認している用語であろうか?
 ビルオーナーからノンリンス洗剤を使用すれば現在の価格より30%も値下げできるといわれた現場もある。すすぎは有害無益な作業なのだろうか。これらの問題に公的協会の立場で取り組み、われわれ現場の直面している問題解決にご協力願えないだろうか?
 安くてよい洗剤とワックスの利点と正しい知識をビルオーナー、現場に届けることはメーカーの義務でないだろうか。ビルメン業界の直面している価格切り下げに対応するためには貴協会のお力が必要である。ぜひこの点をご理解いただきたい。


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