BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)


ビルのリニューアルが及ぼすメンテナンスの課題

1、新宿駅ビルのリニューアル事例

(メンテナンスの難しいリニューアル資材)
 新宿駅ビルのレストラン街がリニューアルした。駅ビルのオープンは1960年代で、当時、東口の中心であり、太平ビルサービスが受注した。我々は島岡氏とともに新築ビルのメンテナンスに取り組んだ。
 当初はエスカレーターの溝を割り箸で磨き上げた記憶がのこっている。しかし、時代とともに話題性に欠けることもあり、過去に1回、リニューアルをしているが、平凡なものであり、場所の有利性を生かせなかった。今回、丸ビルの成功に追従する目的もあり、ほかにはないレストラン街をテーマにリニューアルした。
 設計・企画者はデザインが成功の鍵を握ると考え、これを主力として集客を試みている。丸ビルのデザインが高級とオーソドックスであるのに対して、新宿の土地柄から思いきった前衛的デザインをねらっている。これが成功すれば駅ビルという画一的なビルにすくなからぬ影響を与えると考えられる。結論はいかに目立つかであり、いかに差別化するか、これにより最大限の集客能力をつけるかである。そして、その立地条件との相乗効果を狙うことにある。
 この現場におけるビルメン業務は、視覚に訴えるデザインをいかに汚れで変化することを抑えられるかということになる。おそらく関連協会は特殊な事例として片付けるであろうが、今後メンテナンスの責任範囲、すなわちインスペクター制度がさけて通れない問題を内包している。
 特にこれらの例が顕著に見られるのはハウスクリーニング業界である。現在、新築マンションやリニューアル現場における素材の低価格化は、行き着くところまでいっている。残る差別化の手段はデザインと健康の2点である。そして、それらの素材はメンテナンスやクリーニングが難しい素材が多い。石材ではバブル時の売れ残りや半端物、特に健康を売り物にした吸着性のあるテラコッタ、壁面の珪藻土仕上げなど特に珪藻土の手抜き品などはメンテが難しい〔メンテナンス不可能〕。このような新素材やデザインにウエイトを置いたマンションや店舗が増えている。中には歓迎すべきメンテナンスが容易な新素材もある。結晶化ガラスの採用はメンテナンスに取り歓迎すべきである。しかし難易度の高い新素材メンテナンスシステムの要求は高く現在研究中のハウスクリーニングフランチャイジー組織もある。ビルメンに無関係では決してない。またハウスクリーニング関連法規の変更や最近の判例も今後ビルメンテナンス業界だけでなくビルオーナーにも関係してくる。
 その理由は最近多少減少しているが、ハウスクリーニングにおけるリニューアル現場はデザイン優先工事が多く、当然耐クリーニング性が弱くクレームがおきやすい。その理由は500万円以下の工事であれば何の資格も必要ないということである。たとえば500万円以下ならば素人が家を建てても良いということである。もちろん手抜きのない工事も多いが、ハウスクリーニングによってはじめて欠陥である事が明らかになる例が少なくない。


2、最近のリニューアル現場が提示している問題


(メンテナンスにかなりの高度技術が必要であり、赤字現場になりやすい)
(1)店舗全体がオブジェであり、これらのメンテナンス仕様書の作成は難しい点が多い
(2)各種の光源を使用している光源の演色性と汚れとの関係、すなわちインスペクターの判断基準と光源の関係を十分に注意して清掃する。
(明るさと演色性)
(3)ほとんどのオブジェは、塗装が行われているが現場施工であり、耐洗剤性が強いとはいえない例が多い。たとえばダンボールへのポリエステル。軟質ビニールホースへの塗装。塩ビパイプへの塗装、これらは塗装して耐洗剤性を持たせるにはかなり難しい対象が多い。
(4)オブジェに使用している石材は、通常の床、壁材として使用できない傷や内包物を含んだものが多く(それが魅力でもある)洗剤などによる変色の可能性がある。
(5)特に床に使われている白花崗岩はショットブラストと思われるが、バーナー仕上げとは異なり、汚れが非常につきやすい。シールを行わなければ維持が難しいが、単純にシリコーンの使用は後々問題がおきる可能性があり、必ず剥離手段を考えて置く事がポイント。

3、最近のリニューアル使用素材

 以下に使用されている建築素材を示す。光源はブラックライトをはじめ、各種のものが使用され、全体の明るさは事務所ビルの30%程度であるが、スポットライトなどをうまく使用して節電の狙いもみられる。

リニューアル使用素材例(1以外は壁)
    加工処理 難易度
1 床(白花崗岩) ショットブラスト 難易度5
2 ダンボール ポリエステル塗布 アルカリ注意、難易度4
3 塩ビパイプ PVC塗布 油性しみぬき、難易度4
4 ビニールホース PVC塗布 油性しみぬき、難易度4
5 ビデオ、パソコン エポキシ塗布 油性しみぬき、難易度3
6 ガラス瓶    
7 プラスチック(アクリル)   油性しみぬき剤に注意
8    
9 レンガ    
10 セメント    
11 テラコッタ   メンテ不可能
12 珪藻土壁   メンテ不可能
注、2から10までは壁
注、塗料は外見(におい、硬さ)からの推測
注、軟質塩化ビニールは塗装が難しい

プラスチック塗装は洗剤に弱い 最近の室内オブジェの清掃事例 自動床洗浄機がはいらない、
石材の影や石の汚れの清掃は
なかなか難しい
スピーカー、キーボードの壁 ポリエステル塗装のダンボール 厚めのシールを行わないと
汚れが取れない。後の事を考え
とりやすい保護剤の選択


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