BM技術講座

木村光成(木村ブラシ代表)


中水(再生水)が清掃業務に及ぼす弊害

汚れが落ちなくなる

1、硬水と石鹸
 最近の超高層ビルや大型ビルの特徴として省エネルギー、省資源があり、その一つとして、使用する水の節約が大きな 課題になっている。トイレ、清掃などに使用する水は1度使用した水に雨水などを加えて使用している。これを中水と名 づけている。雨水を使用した例では国技館が古くから知られている。このような再生した水を中水とよび水道水の上水に 対してトイレや散水に使用している。
 この中水はナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの金属を含んでいる 。このような金属を多く含む水を硬水と呼び、金属を含む割合を水の硬度と名づけている。飲み水としては硬度の高いほ うが味がよい。これらの硬水がコンビニで売られている南アルプスの水やボルビックなどである。もちろんこれらの水は 飲用として厳密な検査をへて販売されていて、ビルの中水は飲用目的でない。
 現在は問題にされないようだが、今 後、中水の硬度が問題を起こしつつあることを指摘しておく。最近、自然にやさしいとして、石鹸が最新の洗剤として販 売されている。石鹸は自然にやさしく洗浄力も高い。
 しかし、これは水の硬度が低い軟水で使用するという条件に おいてである。わが国ではほとんどの使用水が軟水であるという恵まれた環境にあった。しかし、日本でも最近は硬水が 多くなっている。
 外国はほとんどが硬水で、石鹸の性能が落ちるため石油系の界面活生剤の発展を促したとも言わ れている。石鹸に対し合成界面活性剤をソープレスソープと呼ぶのもこれに由来するといわれる。
 例えば温泉で石 鹸を使用しても、あわ立たないのは硬水で金属石鹸ができ、洗浄力を失うためである。また、下水のつまりの原因である 粘土状の固まりは、この金属石鹸であり浴槽の汚れもこれが多い。
 水の硬度は通常カルシウム、マグネシウムが基 準になる。しかし、ビルメンから見た水の中の不純物はこのほかに珪酸や鉄分がある。エフロや古いマンションの赤水な どは現場にとって大敵である。特に石材の内部錆は洗浄水や石材の下から吸い上げられた水の含有物が原因であることが 多い。

2、現場でできる洗剤と水のテスト法
 水の硬度の簡易測定は、現場でできる洗剤の見分け方(林資料)の石鹸法、ボルビック法がある。もちろん試験紙でもよいがビルメン現場では入手しにくい。 石鹸法はスーパーなどで何種類も販売されている純石鹸で石鹸水を作り、それをテスト液としテストする水に入れる。白くにごると金属石鹸ができたということで硬水である。(写真1)
写真1、テスト液を入れた中水、左2つが硬水


3、硬水の問題点
 硬水によって、トイレの汚垂れ石の白化やエフロの増加、赤水などのほかにタイルカーペットで落ちにくい獣 道の原因を引き起こしているのではないかとして疑われている。タイルカーペットの中の残留洗剤に、金属石鹸 が存在することは10年前から林先生が指摘していたが、現在、合成洗剤は悪で石鹸は善という中で、かなりタ イルカーペットの中に残留金属石鹸があると考えられる。
 洗剤業者は硬水を軟化するキレート剤を加えれ ば問題ないとしているが、それは試験管の中の話に過ぎない。キレート剤の使用と、はじめから軟水を使用した のとは同じではない。使用する水をキレート剤で軟化して使用するのが本来であり、クリーニング業界ではこの 考えである。洗剤に加えた微々たるキレート剤では、どの程度の水を軟化できるだろうか。
 タイルカーペ ットのリンサーによるすすぎでは、次々にマグネシウムなどを含んだ水が大量に使用されるため洗剤の中のキレ ート剤では対応できない。これは旧厚生省(厚生労働省)との共同研究で確認されている。(クリーニング総合 研究所、林資料)
 また、一部の販売業者が石鹸は中性で界面活性剤はアルカリとの説明をしているが、こ れは間違いであろう。したがって合成洗剤は悪で、石鹸は善であるという考え方は少なくとも正しくない。同様 に輸入品のアルカリはウールに無害であるとの説明もされている。
 これらについては国民生活センターに 問い合わせてもらいたい。
 最新のビルは、ますます水、空気、照明、電力、空調などの省力化が要求され る。今までのビルメンはこれらを無料で使用してきた。今後これらは、投入金額と回収金額という厳しい目で見 られる。ビルメン業界もこれらに対する研究が欠かせなくなる。そして、この中水の問題もデーターの蓄積が必 要であり、現在一部ビルメンでは、すでに取り組んでいる。
〈完〉
循環水に含まれるエフロの原因物質


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