今回は前回に続き、2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたっての、私の考えを書いていきたいと思います。
オリンピックには海外から多くのお客様がいらっしゃいます。そこで、様々な設備の充実や、地域の協力が必要になってくると思います。
設備面では、手荷物の一時預かり所をもっと増やしてほしいですね。海外からのお客様は、手荷物がいっぱいです。確かに空港、駅などにコインロッカーはありますが、実は今最も困っているのが、最新型のロッカーでICカードを使って不具合が起こると、意外と手間がかかること。そのせいで私は、新幹線に乗り遅れそうになったことがあります。
それを考えると旧式の、硬貨を入れて鍵を回すタイプのロッカーの方が間違いがないように思います。公共の場所にロッカーが足りなければ、オフィスビルの一室を借りて、臨時の荷物一時預かり所にするのもいいのではないでしょうか。
羽田空港で仕事をしていると、毎日のようにトイレ、銀行などの場所を聞かれます。特にトイレは空港の場合、至るところにあるのですが、日本人の方にもよく聞かれます。また外国人の方が、駅で切符の買い方に戸惑い、後ろに行列ができてしまうことも多く見受けられます。
まず電車、地下鉄、バスの乗り方をはじめ、基本的な情報はパンフレットにまとめ、街のあちこちで手に入るようにしてほしい。頻繁に使う場所には、わかりやすい表示や、使い方の案内も必要です。ホテルでも、必ず周辺の地図を用意した方がいいと思います。
昔、駅によくあった伝言板も復活させるといいですね。「はぐれたら、ここに集合」など、自由にメッセージを書けるようにしておく。今は携帯電話がありますが、伝言板も頼りになる存在だと思います。
また、休憩スペースも必要です。私は地域の集会所を、案内所兼休憩スペースに充てることをおススメします。一人何百円か、休憩料をいただけば、地域の収入にもなるのではないでしょうか。
オリンピックは暑い時期なので、こうした休憩スペースや町中で、水やお茶を無料で配るようにすると、喜ばれるのではないかと思います。あとは駅を筆頭に、もっとトイレの数を増やしてほしい。特に地下街は、雨が降るとお客さんが集中します。東京都内だけでなく、近郊にも宿泊客が溢れるでしょうから、臨時トイレの増設を、真剣に考えた方がいいと思います。
私たち羽田空港では、お客様が利用しやすく、空港内で少しでも日本の安らぎやホスピタリティーを感じてほしいと思い、様々な工夫を始めています。空港では、私たち清掃員を含めたスタッフ全員が、海外から来たお客様の案内役を務めています。ただ、まだ外国語を話せるスタッフが少ないのが実情です。パラリンピックに備えて、手話を毎日のミーティングで練習しています。
空港は、来日客が最初と最後に訪れる場所。日本を代表する場所だと思っています。私たちは精一杯のサービスを提供し、日本人の心をお見せしていきたいと考えてます。
(2019.2.25掲載)